解説


 神奈川県内で記録されている鳥と、主にその生息状況について解説しています。
解説文は、日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥の文章を基にしています。




2014年2月28日金曜日

シロエリオオハム Gavia pacifica



シベリア東北部、アラスカ、カナダで繁殖する。本県ではアビ類中最もふつうに観察されるが、個体数は多くない。沖合いの海上で生活しているのが普通だが、時々漁港や内陸の湖沼等に入ることもある。
 オオハムに酷似するため識別には細心の注意が必要である。飛翔中の姿を横から見ると、上面が黒褐色で下面が白く、体側を境にきれいに上下に分れているように見える(オオハムの場合は腰の部分が白くせり上がる)。また、翼付け根の黒帯は太い傾向にある(オオハムでは細い)。また、非繁殖期は、喉に首輪状の褐色の帯が入る。春先に海上を数10羽程度で飛翔しながら北上する群れを観察することがあるが、ウ類の様に編隊を組むことは無く、前後上下左右ばらばらの統一性の無い群れとなる。5月近くなると夏羽の個体も観察されるようになる。

2014年2月26日水曜日

オオジュリン Emberiza schoeniclus

 本県には冬鳥として10月下旬に流れの緩やかな堰の上流や川の下流、遊水地などにひろがるヨシ群落に飛来し、翌年の4月中旬に繁殖地へと去る。ハマダイコンにつくアブラムシ、カイガラムシやヨシの茎を裂いて中の虫やヨシの穂を採食した記録がある。ヨシ群落を移動するときは、飛び込んでしばらくすると茎を登り、穂の上に長くとどまらずに動きまわる。地鳴きはチーチーと鳴き、4月渡去前にチュイーンと囀る。オスは渡去前に頭と喉が黒くなり、白い頬線の夏羽に変わる。
 神奈川県では、ヨシ原の減少により分布が狭められているとして非繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類に区分されている。

2014年2月24日月曜日

ミツユビカモメ Rissa tridactyla

 ユーラシアと北米の亜寒帯域沿岸で繁殖する小型のカモメ類で、非繁殖期には主に外洋で生活する。成鳥では翼の先端が三角形に黒いこと、若鳥では翼の上面にW字型の黒い模様があるのが特徴である。くちばしは黄色く、黒い脚は他のカモメ類より明らかに短い。
 沖合の船からしばしば観察されるほか、稀に海岸に現れ、他のカモメ類の群れに混じって防波堤などで休息しているのが観察される。

2014年2月22日土曜日

マヒワ Carduelis spinus

 本県には冬鳥として10月に渡来し、4月に繁殖地へ移動する。丹沢、箱根、川崎市、横浜市、相模原市、鎌倉市、逗子市、藤沢市、南足柄市など各地で観察されている。
 秋冬はオオバヤシャブシ、ヤマハンノキ、アキニレ、ハンノキ、ヤシャブシ、カラスザンショウ、スギなどの木の実、春はクヌギ、イヌシデ、キブシの花芽、クヌギ、ケヤキ、コナラ、ヤマグワの花穂、コナラ、ケヤキの新芽、ナタネの実などを採食する。
 大きな群れで行動することが多く、チュインチュインという地鳴きが賑やかに聞かれる。

2014年2月20日木曜日

イソシギ Actitis hypoleucos

 本県では一年中見られる留鳥で、山地を除き、本県の河川や水田、休耕田、湿地、干潟で普通に見られる。繁殖は河原の中州などの低木や草の根元などに4個の卵を産み、約21日間抱卵する。孵った雛は半日ほどで歩き出す。親鳥は外敵等が近づくと擬傷を行うことが多いといわれるが、本県では雛や擬傷を観察した記録は殆どない。
 水際で尾を大きく上下に振りながら歩き、水中や砂利の間から昆虫などを採食する。チーリーリーと甲高く細い声を出して水面近くを直線的に飛ぶ。
 神奈川県での繁殖および生息環境が人為的要因により不安定になってきているとして、繁殖期希少種、非繁殖期は注目種に区分された。

2014年2月18日火曜日

カワセミ Alcedo atthis


 留鳥または夏鳥として全国に分布する。本県ではほぼ全域の水辺で生息し、繁殖している。土の崖に穴を掘って営巣する。求愛給餌をよく行う。空中でホバリングをしたり川に突き出した枝などからダイビングをしたりして魚を捕える。採った魚は枝に叩きつけて咥え直してから頭から呑み込む。魚の他、オタマジャクシ、エビのなかま、アメリカザリガニの採食が確認されている。チィーと鳴きながら水面をかすめるように直線的に飛ぶ。

2014年2月16日日曜日

イカルチドリ Charadrius placidus

 本県では留鳥として生息し、越冬期には各地の中小河川や水田、池などで見られている。繁殖は相模川、酒匂川とその周辺でほぼ毎年記録されている。河口部より中流域や上流部で観察されることが比較的多く、他のチドリ類と異なり海岸干潟ではあまり見られない。
 河原の砂礫地で営巣する。雛は孵化後しばらくすると歩きだし、親が雛を連れ出し巣を離れる。雛は自分で水際の石の間などから水生昆虫を捕食する。外敵等の接近時は親は翼の下に雛を隠し、外敵が去るまでじっとしている。繁殖期にはピッピッピッ・・・・・と甲高く大きな声を出し、上空を旋回しながら縄張りを宣言する。地上にいるときは雌雄がピュという小さな声を出しあう。冬季は若鳥が数羽で中洲などの石の間で休息する姿を見かける。

 神奈川県では、繁殖環境である河川敷の砂礫地の草地化や樹林化により減少傾向にあることや河川敷への車や人の侵入、カラスなどによる捕食が減少の要因となっていて、繁殖期準絶滅危惧種、非繁殖期も注目種に区分された。 

2014年2月14日金曜日

ミヤマホオジロ Emberiza elegans

 本県では、冬鳥として平地から山地の疎林や都市公園、農耕地などへ渡来するが、年によって渡来状況は安定していない。単独または数羽の群れが、11月中旬から3月中旬にかけて観察されているが、特に1月から2月にかけての記録が多い。林縁や林内の少し開けた場所の地上で、草の実や昆虫、クモなどを採食する。地鳴きは、チッと一声鳴き、二音のホオジロとは異なるが、カシラダカ、アオジ、ホオアカとはよく似ているので、注意を要する。

2014年2月12日水曜日

カワウ Phalacrocorax carbo

 本県では1980/09/29に相模川河口で初確認された。その後1990年ごろから観察記録が増え始め、現在では年間を通して本県の平野部のほか丹沢、箱根の山地を含めたあらゆる水系・水域で観察されている。初めて繁殖が確認されたのは1998/05/21宮ヶ瀬ダムである。
 現在では河川に100羽単位の群れが飛来し、集団で魚類を追いこんで捕食することなどから、漁業者との軋轢を生んでいる。体が大きく、多数の群れで行動することから、他の水鳥への影響も懸念されている。
 

2014年2月10日月曜日

イカル Coccothraustes personatus


 本県では留鳥として主に落葉広葉樹林の都市公園、丘陵地、山地などに生息している。津久井湖城山公園のように一年を通して記録のある場所は少なく、繁殖期のみ記録があって秋から春には記録の無いところ、逆に越冬期のみ記録のあるところもある。
 ムクドリ大の灰色の鳥で、頭部が黒く、嘴が黄色で太く目立つ。数羽から数十派の群れで樹の梢や地上で採食しているのが観察される。採食物は木の実、草の実、ケヤキの新芽、ヤマザクラの花芽など。採食方法は、エノキなどの堅い殻を太い嘴でパチンと割って食べる。樹冠部にとまってキーコーキーとよく通る声で囀る。

2014年2月8日土曜日

ヒドリガモ Anas penelope

 冬鳥として全国の湖、河川、内湾に渡来する。本県では各地で普通に見られ数も多いが、小さな川や池には少なく、大きな河川や河口にまとまっている傾向がある。県全体ではこの10年間やや増加傾向にある。淡水カモとしては内湾を好み、アオサ等の海藻をよく食べる。採食方法は、地上で草をむしって食べたり、水面に浮いているものや流れて来るものを掬って食べたり、流木や石に付く藻等を啄んだりと環境に合わせて対応する。浅瀬での逆立ち採食もよく見られ、潜水して採食した例もある。オスはピューッという鋭く大きな声で鳴く。求愛行動はあまり観察されていない。

2014年2月6日木曜日

コミミズク Asio flammens

 冬鳥として渡来し、河川などの開けた草原や農耕地、埋め立て地に渡来する。本県では多摩川の河原に定期的に渡来していたが、近年は稀になっている。定期的な越冬地は、記録されていない。秋から冬にかけて通過個体が観察されるに過ぎない。10月上旬に渡来し、4月中旬頃まで見られる。日中はヨシ群落などの草むらに潜んでいて夕方から活動する。川岸を低くゆったりと羽ばたいてネズミなどを探すが、悪天候が続いた後は昼間から盛んに飛ぶことがある。
 神奈川県では河川改修によるヨシ群落や草原の面積の減少、河川敷のグラウンド化などにより個体数が急速に減少し、非繁殖期絶滅危惧Ⅰ類に区分されている。

2014年2月4日火曜日

タゲリ Vanellus vanellus

 本県には冬鳥として内陸部の河川や水田、休耕田に渡来する。山形県(環境省自然保護局生物多様性センター2005)や茨城県(日本鳥学会2000)で繁殖例がある。
 単独で見られることもあるが群れで見ることが多く、茅ヶ崎や平塚、小田原などでは毎年同じ場所で見られる傾向にある。飛来地は湿り気のある場所が多く、ミミズや昆虫などを採食している。時には草の実を食べることもある。また片足で地面を叩き、追い出して採食することがある。
 神奈川県では、水田の乾田化や宅地開発により、生息地となる湿田が減少または消失しているとして、非繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類に区分された。

2014年2月2日日曜日

キクイタダキ Regulus regulus

 本県では、主として冬鳥として渡来し、11月から4月まで観察されるが、山北町大野山と愛川町仏果山では6月に囀りが観察されている。
 スギやヒノキ、クロマツなど、針葉樹林の枝先でホバリングしながら虫を捕食したり、ぶら下がって採食する行動が見られる。ヒガラ、ヤマガラ、シジュウカラ、コゲラ等と混群をつくり移動することもある。囀りはチリチリチリ、チーチーチーと細く高い。
 繁殖は過去に1998/06/19清川村堂平、1990/05/16伊勢原市大山、1998/03/29山北町西丹沢県民の森での記録がある。神奈川県では、モミの伐採や自然遷移による繁殖環境の減少が要因で、繁殖期・希少種に区分されている。