解説


 神奈川県内で記録されている鳥と、主にその生息状況について解説しています。
解説文は、日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥の文章を基にしています。




2014年1月31日金曜日

カワアイサ Mergus merganser

 北海道東部で少数が繁殖するが、主に冬鳥として広い湖沼に群れで渡来する。本県では少なく、分布も局地的である。1999年までは芦ノ湖に毎冬数十羽が渡来していたが、湖ではその後数が減り、最近では、酒匂川中流域で数十羽が、相模川中流部でも毎冬越冬している。多摩川中流域でも観察されているが不定期である。
 潜水して魚を捕食する。メスに比べてオスの観察例が少ないが、オスのエクリプス羽がメスと認識されている可能性もある。

2014年1月29日水曜日

トラツグミ Zoothera dauma

 本県では一年を通して見られる留鳥である。繁殖期は主に箱根町、南足柄市、愛川町、津久井町、相模原市、厚木市、丹沢山地などの県西部で見られる。越冬期には平地や丘陵地の比較的薄暗い林を好み、県内の広い範囲で確認されている。
 囀りはヒー、ヒーまたはヒョー、ヒョーと口笛に似た細い声。採食は、昆虫、ミミズ、ムカデなどの動物質の他、植物質のヤブラン、イヌホオズキ、ヒサカキ、ヤブコウジの実などが記録されている。林床に降りて落ち葉を払いのけながら主にミミズを採食している様子が観察されている。

2014年1月27日月曜日

ハジロカイツブリ Podiceps nigricollis

 小型のカイツブリ類。本県では冬鳥として主に海上で見られ、潜水して魚類を捕食する。群れで行動していることが多く、潜水する際は一羽が潜ると他の個体も次々と潜水し、一斉に浮上する。
 ミミカイツブリに似ているが、少し小さく頭部の黒い部分の形が異なる。頭頂の形も本種はオムスビ型にとがって見えるが、ミミカイツブリはなだらかに見える。
 相模湾、東京湾沿岸と多摩川河口域などの海水域と相模原貯水池、酒匂川飯泉取水堰など淡水域でも観察されている。声量のある声でピッピッなどと鳴く。

2014年1月25日土曜日

アカゲラ Picoides major

 留鳥として主に本州以北に分布する。本県でも広く分布するが、繁殖期の記録は殆ど山地に限られており、繁殖例は少ない。冬季には丘陵地や都市公園などでも見られる。幼羽の頭部は全体が赤いためオオアカゲラのオスと似ており、識別には注意を要する。
 幹を突いて中の虫を食べるが、その際、舌を突き出す行動も見られている。また、樹皮を剥ぎ落して突いて虫を採食する行動も見られている。他に植物としてイヌシデの実を食べた記録もある。
 冬季にはメジロ、シジュウカラ、ゴジュウカラなどととの混群に入っていた例もある。鳴き声は、キョッキョッ、ケッケッ、クワックワッなどが記録されている。

2014年1月24日金曜日

トモエガモ Anas formosa

 冬鳥として渡来するが、東日本では少ない。本県には、ごく少数が渡来する。相模原貯水池では1996年に8羽、1998年に17羽が記録され、2001年1月にオス3メス2羽が観察された。これ以外は1~3羽の観察である。
 コガモの群れに入っていることが多い。特にメスはコガモとの識別に注意を要する。
神奈川県では、生息環境の悪化はあまり見られないものの、越冬する例は減少し、特に定期的な渡来地が消失しつつあるため、非繁殖期・希少種に区分されている。

2014年1月22日水曜日

オオタカ Accipiter gentilis

 本県では年間を通して全域で見られ、特に9月から3月にかけての記録が多い。繁殖期の個体数は1990年代から増加傾向にあり、平地から丘陵地の自然林で繁殖が確認されている。しかし神奈川県では、宅地開発や道路建設などによる生息地の森林の悪化、消失および雛の密猟や観察、撮影をする人の侵入が見られ、生息基盤は安定しているとは言えないとして繁殖期絶滅危惧Ⅱ類に、非繁殖期希少種とされている。
 捕食は主に鳥類。魚を狙った例もあった。鳴き声は繁殖期に出すキィーキキキキー、鳴き交わしでキョッキョッに対してのピャーピャー、その他キョッキョッキョッ、カッカッカッ、ピューイピューイなどが記録されている。

2014年1月21日火曜日

カンムリカイツブリ Podiceps cristatus

 大型のカイツブリ類。国内では局地的に繁殖しているが、本県では冬鳥として主に比較的波の穏やかな海上や大きな河川、湖などで見られる。潜水して魚類を捕食する。アカエリカイツブリより首がずっと長く見える。飛翔中も肩と次列風切の白い部分が目立つ。
 相模湾から東京湾沿岸にかけての海岸部や多摩川、相模川、酒匂川などの大きな河川の中~下流域、内陸の津久井湖、芦ノ湖など広い範囲で観察される。また、6~8月の夏季にも数例の記録がある。

2014年1月19日日曜日

アリスイ Jynx torquilla

 夏鳥として北日本に渡来する。横浜東部から小田原にかけての水辺および河川の流域沿いで観察されている。
 本県では9月中旬から4月にかけて農耕地など開けた場所で記録されている。また、ヨシ群落などの湿地や枯れ木の根元付近でアリを採食している観察例が複数寄せられている。
 鳴き声は、キョッキョッ・キョッキョッ、キィーキィキィキィクィクィなどが報告されいる。

2014年1月17日金曜日

ハシビロガモ Anas clypeata

 主に冬鳥として本州以南の湖沼、川、河口に渡来する。オスは黒い頭部、雌雄ともに大きな嘴をもつ。芦ノ湖、相模湖、宮ヶ瀬湖など山間の大きな湖では全く見られない。大きな嘴を水面で左右に振り、水面に浮く細かい藻や微細な食べ物を漉しとって食べるが、逆立ち採餌もよくする。また、数羽以上の群れが水面に輪を描いて嘴を水面につけて採食する行動も観察されている。人が与えるパンなども食べる。
 

2014年1月16日木曜日

ハヤブサ Falco peregrinus

 本県には冬鳥として渡来し、稀に留鳥として繁殖する。種の保存法掲載種。海岸、河川、農耕地、市街地など開けた場所で見られ、山地でも記録がある。神奈川県内では、二か所で繁殖が確認されているが、詳細については報告されていない。神奈川県では繁殖個体群が少なく、生息基盤が極めて脆弱であるとして、繁殖期・絶滅危惧Ⅰ類に、非繁殖期は渡来個体群が少なく、希少種に区分されている。
 繁殖活動の記録として、空中での求愛給餌やディスプレイが観察された。海岸の断崖、人工建造物、樹上などの高い位置で、休息したり、獲物を狙ったり、捕獲したものを食べる。あるいは体の手入れを行うなどの行動が数多く記録されている。空中で鳥類を捕えることが多く、獲物を狙うと翼をすぼめて急降下するのがよく見られる。

2014年1月14日火曜日

セグロカモメ Larus argentatus

 ユーラシアから北米の亜寒帯や寒帯で広く繁殖する大型カモメ類。日本には主に冬鳥として渡来する。背中は淡い灰色で、初列風切が黒く、脚は肉色かピンク色をしている。本県では、主に9月から4月頃まで観察され、夏には少数の個体が残留することがある。港湾や大きな川の河口部で見られることが多く、他のカモメ類と混群をつくる。しばしば内陸部の川や貯水池、ダム湖などにも出現するが、単独か数羽の成鳥であることが多い。相模原市の相模川では冬季に単独の個体が頻繁に見られる。干潟や川でコイやボラのような大型の魚の死体を啄んでいるところがよく観察される。

2014年1月13日月曜日

ウソ Pyrrhula pyrrhula

 本県には冬鳥として11月に渡来し、4月に繁殖地へ渡る。平地、川原、畑から山地などに生息している。
 採食物はサクラの芽、蕾、フサザクラ、ウメ、クヌギ、キブシの芽、エゴマ、カナムグラ、イノコヅチ、カラムシ、コアカソ、タマアジサイ、ガクアジサイ、マルバウツギ、ムラサキシキブ、スイカズラの実が観察されている。
 地鳴きはフィフィ、ヒィフ、フィーフィーと鳴く。囀りはフョーフィフィと鳴き、地鳴きに似ている。
 2006年と2012年の冬はウソの渡来数が多く、各地の都市公園や住宅地の小さな公園でも観察された。
 亜種のアカウソPyrrhula pyrrhula rosacceaは、ウスリーやサハリンで繁殖した個体である。

2014年1月11日土曜日

ヨシガモ Anas falcata

 本州以南では冬鳥であり、本県では酒匂川などの大きな河川や湖に渡来するが少ない。相模原貯水池では毎年20~30羽前後が見られていたが、2004年以降減少傾向にある。一方相模川中流では2002年以降毎年20羽程度が見られている。酒匂川河口や飯泉堰、多摩川中流では毎年観察されているが、その他では不定期である。 山間のダム湖では見られていない。
 他の淡水カモと同じように、水草や水面浮遊物を食べ、陸上で草を食べるのも観察されている。オスがメスを取り囲んで鳴きながら首を伸ばしたり曲げたりするディスプレイ行動が見られる。

2014年1月9日木曜日

ベニマシコ Uragus sibiricus




 本県には冬鳥として11月に渡来し、4月に繁殖地へ移動する。ヨシやススキの生える河原で多く観察されている。
 採食は、オオブタクサ、カラムシ、スイカズラ、セイタカアワダチソウ、ハコベ、ヒカゲイノコズチなどの草の実、ウツギ、フサザクラ、マメガキ、ヤシャブシなどの木の実やヤナギの新芽、ヨシの茎を突いて虫を食べたという採食例がある。
 大きい群れは造らず、多くて10羽程度である。地鳴きはフィーフィー、フィホッ、フィホッと聞こえる。

2014年1月7日火曜日

オオバン Fulica atra

 本県では主に越冬期に大きな河川や湖沼で見られるが、近年その数が多くなり、分布を広げている。関東では、茨城県や千葉県で繁殖しているが、全国的に見ると繁殖範囲は局所的であり、繁殖例も少ない。(環境省自然保護局生物多様性センター2005)
 本県では2000/06/18に川崎区浮島町の処理場の池で、4つがいの繁殖が初めて確認された。ヨシ群落や草むらに枯葉を積み上げ産卵する。孵化した雛は全身が黒く、顔には赤と青の皮膚が露出した部分がある。
 オオバンには足に弁足というヒレがあり、泳ぎが得意で、葦原などを歩いて移動する姿はあまり見かけない。採食は泳いでアオサやミズゴケなどの水草や水生昆虫などを採るが、水に潜って水草を採ることも多い。水面を泳ぎながらクエーン、クエーン、キョキョと聞こえる声で鳴く。冬は群れで生活することが多く、水草を巡りカモなどと争う姿もよく目にする。