解説


 神奈川県内で記録されている鳥と、主にその生息状況について解説しています。
解説文は、日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥の文章を基にしています。




2014年11月14日金曜日

アオゲラ Picus awokera





 留鳥として本州以南に分布する。本県では四季を通して山地の自然林、人工林から平地の都市公園まで広い範囲で見られ、繁殖もしている。枯れ木や生木に穴をあけて営巣する。巣に使った穴を塒として利用することもある。冬期にも穴を掘る例が観察されているが、塒用の可能性が高い。飛ぶときは大きく波形飛行をする。林の中でタララララと響くドラミングの記録が多い。鳴き声はキョッキョッ、ピューピュー、ピオーピオー、キョッキョッケケッ等が記録されている。アリを食べていた例、木を突きカミキリムシの幼虫を食べた例、植物質ではハゼノキ、ナンキンハゼ、エノキ、カキ等の果実を食べた例が報告されている。

2014年11月4日火曜日

チョウゲンボウ Falco tinnunculus


 本県では留鳥または冬鳥として、農耕地や河川敷などの開けた環境でよく見られる。冬期の記録が多いが、夏期の記録も徐々に増えている。都市部の橋梁や鉄塔、建造物等の人工物に営巣する例が増加して、繁殖地は平地の全域に拡大している。捕食は小鳥類、昆虫が主。鳴き声はキーキッキッキッ。

2014年6月27日金曜日

アカショウビン Halcyon coromanda



 夏鳥として全国の渓流沿いの森林などに渡来する。本県では箱根や丹沢などの比較的標高の低い山間部に生息し繁殖もしていたが、近年では途絶えている。横浜自然観察の森では春の渡りの時期に池に飛び込むシーンなどが観察されている。明け方に囀ることが多いが、雨が降っている時は日中でも鳴く。
 神奈川県では、もともと生息数が少なく、局地的に確認されていたが、近年観察例が減少傾向にあり、既知の繁殖地も消失した可能性が高く、繁殖期絶滅危惧Ⅱ類に区分されている。

2014年6月21日土曜日

ヒクイナ Porzana fusca

 夏鳥として全国の水辺に渡来し、本州以南では少数が越冬する。本県では、かつて各地の湿地や水田地帯に夏鳥として広く分布し、繁殖記録もあったが、生息環境の減少により近年急速に個体数が減少し、観察例は極めて少ない。神奈川県では、湖沼や河川の護岸改修や乾田化のため湿田や草地は激減し、地域によっては消失しており、安定した渡来は無いとして、繁殖期・絶滅危惧Ⅰ類に区分された。全国的に繁殖域も激減している。

2014年6月16日月曜日

オオヨシキリ Acrocephalus orientalis



 本県では夏鳥として渡来し、主に4月下旬から11月上旬にかけて記録されている。確認の殆どが囀りで記録されているため、囀りが聞かれなくなる秋の記録は少ない。生息環境は河原や休耕田、湿地、干潟、都市公園のヨシ群落などで、県内の平地で広く観察されている。採食内容は、バッタ、甲虫、毛虫などが記録されている。ギョギョシ、ギョギョシと大きな声で囀る。地鳴きはケッケッ、ギュッ、ギュッなどと聞こえる声を出す。神奈川県では、河川改修などによるヨシ群落の衰退から、繁殖期・絶滅危惧種Ⅱ類に区分されている。

2014年5月10日土曜日

オオルリ Cyanoptila cyanomelana

 本県では4月中旬から7月によく観察され、9月、10月の秋の渡り時期に市街地の公園などでも観察される。生息環境は山地や丘陵地の針広混交林や沢沿いの林を好み、川崎市、横浜市、湘南地区、三浦半島丘陵地などで観察されている。採食はミズキ、アカメガシワの実、バッタやアオムシなどを食べ、フライキャッチをする。見晴らしの良い木の梢などで囀る。
 神奈川県では堰堤工事による河川環境の変化、砂防ダム建設、林道建設、森林伐採などが要因となり、繁殖期・準絶滅危惧種に区分されている。

2014年4月28日月曜日

ホオジロ Emberiza cioides

 本県では留鳥として、平地、河原から山地の草地など開けた環境に生息し、ほぼ全域で観察される。早春から草地の中の灌木、林縁の梢、電線、テレビアンテナなどの目立つ場所にとまり、よく通る声で囀るため観察例は多い。本種は、秋に囀りを聞くことがある。冬季には小群をつくることも多く、カシラダカ、アオジなどと混群をつくるものもある。
 

2014年4月18日金曜日

ヒバリ Alauda arvensis

 本県では、平野部の河原、水田、畑、空き地などで四季を通して見られる。囀りは、1月下旬には始まっており、上空を飛びながら行うことが多いが、地上やロープなどにとまって行うことも観察されている。また、10月にも囀ることがある。
 砂地のところでは砂浴びも含め、うずくまって休むこともある。冬季には10羽前後の群れでグランドなどで採食することもある。
 背の低い草本植物がまばらに生えるような開けた草地を好むが、このような環境が開発や植物遷移などにより激減している。開発途中の造成地でも繁殖するが、これらは一時的な繁殖適地に過ぎず、都市域を中心に、分布は後退傾向にある。
 神奈川県では、県東部の都市部で分布域の明らかな減少が見られ、個体数も減少しているとして、繁殖期・減少種に区分された。

2014年4月7日月曜日

キジ Phasianus versicolor


 留鳥として本州から九州にかけて分布する。自然分布の他に全国で放鳥が続けられており、本県でも毎年、県(2000年まで)と狩猟団体による放鳥が行われている。草原性で河川敷や畑、果樹園などで普通に見られる。樹林内や標高の高い場所では見られない。オスは光沢の強い緑色の羽色と顔の赤色部が目立つ。メスは褐色で、オスほど尾は長くない。オスは繁殖期になるとケーッケーッと鳴いて直後に翼をドドド・・・・・と打ち鳴らす。

2014年3月24日月曜日

アトリ Fringilla montifringilla

 本県には冬鳥として渡来する。丹沢山地周辺や横浜市内の自然公園から三浦半島にかけての観察記録が多く、午前中の観察例が多い。数羽から50羽程度の群れで観察されており、カワラヒワ、カラ類、ホオジロ類との混群で見られることもある。多いときには2万羽以上の群れが観察されたこともあり、年によっての渡来数の変動が多い。
 樹上で、ブナ、スギ、アカマツ、クロマツ、フサザクラ、ハゼ等の種子を食べるが、ハマダイコンの種子や昆虫の幼虫を食べた観察例も報告された。飛ぶときにキョキョやジュイーンジュイーン、ビュイーンなどと鳴く。

2014年3月15日土曜日

ヤマシギ Scolopax rusticola

 本県では主に冬鳥として渡来するが、夜行性であり、日中は薄暗い林や藪の中に潜んでいるため、目にする機会は多くない。日没後、湿地や畑などに出て来て嘴を地面に挿し込みミミズや小動物を採食する。
 本県の繁殖例としては、6月に2羽のヒナを連れた親の記録がある。 繁殖期には夕方や明け方にブウーブウーと低い声で鳴き、キチッキチッと短く鋭い声を出し飛ぶことがあるが、越冬期には鳴かない。
 神奈川県では、生息環境が開発の対象になりやすい湿地環境のため減少し、観察例も減少しているとして、非繁殖期・希少種に区分された。

2014年3月10日月曜日

ヒレンジャク Bombycilla japonica

 本県には冬鳥として渡来し、12月から5月にかけて見られる。山地での記録は無く、県南部での記録が多い。20羽前後の群れでの観察が多い。採食物はヤドリギの実の他にキヅタ、ヤブラン、メタセコイア、エノキ、トウネズミモチの実、コブシ、サクラの花、ケヤキの芽、ヤナギの花芽、川虫などが挙げられている。チリチリチリ、ピーッ、ヒーッなどと鳴く。レンジャク類はヤドリギの実を食べると粘着性の糞をする。

2014年3月8日土曜日

コサギ Egretta garzetta

 本県では丹沢・箱根を除いたほぼ全域で留鳥として見られる。サギ類の中では個体数が多く、河川、水田、池、自然林、都市公園、海上など広く見られるが、繁殖は年々減少傾向にある。
 採食行動は脚震わせ、横取り、待ち伏せ、パドリングなどのほか、羽を広げてクルクル回ったり、跳び跳ねたり、歩いたりなど様々な行動をする。採食例としては魚、カエル、アメリカザリガニ、フナムシなど。捕えたミミズを洗って食べたという記録もある。
 コサギもダイサギと同じように留鳥だが、秋に個体数が増加する。これは秋の渡りの時期に通過個体が長期にわたり逗留しているものと考えられる。

2014年3月6日木曜日

クロジ Emberiza variabilis

 本県には平地の常緑広葉樹林に冬鳥として飛来し、丹沢山地では繁殖の記録もある。採食物はイネ科の実、ヒサカキの落ちた実、ミズヒキの実、地面に撒かれたヒマワリの種などが記録されている。また、繫殖期にはハチの採食例も記録された。囀りはホイチーチーチーホイチーと聞こえる。
 神奈川県では生息数が少なく安定しておらず、ソウシチョウとの競合の可能性もあり、生息環境の悪化が懸念されるとして繁殖期・絶滅危惧Ⅰ類に、また冬季は越冬個体が減少し、定期的に観察されなくなった場所もみられるとして非繁殖期・減少種に区分されている。

2014年3月4日火曜日

クロガモ Melanitta nigra

冬鳥として主に北日本の内湾、外海に渡来する。本県では観察例は少ないが、藤沢沖から鎌倉沖にかけてほぼ毎年記録されている。二宮沖や真鶴岬沖や三浦半島の海岸でも記録がある。
潜水して採食するが、食べたものが特定された記録は無い。

2014年3月2日日曜日

ミソサザイ Troglodytes troglodytes

 本県では、箱根・丹沢山地周辺で一年を通して見られ、京浜・湘南・県央等の平野部では主に11~3月の越冬期に観察される。公園内の水路沿いの藪、ヒノキ・スギなどの針葉樹林の林床、倒木の下などでよく観察される。3~7月の繁殖期には、コケを咥えて運ぶ姿や滝のそばで餌を
運ぶ姿が観察されてい体に似合わず大きな澄んだ声でピピチーピルルピチー等と囀る。チャッチャッ等と聞こえる地鳴きはウグイスに似る。

2014年2月28日金曜日

シロエリオオハム Gavia pacifica



シベリア東北部、アラスカ、カナダで繁殖する。本県ではアビ類中最もふつうに観察されるが、個体数は多くない。沖合いの海上で生活しているのが普通だが、時々漁港や内陸の湖沼等に入ることもある。
 オオハムに酷似するため識別には細心の注意が必要である。飛翔中の姿を横から見ると、上面が黒褐色で下面が白く、体側を境にきれいに上下に分れているように見える(オオハムの場合は腰の部分が白くせり上がる)。また、翼付け根の黒帯は太い傾向にある(オオハムでは細い)。また、非繁殖期は、喉に首輪状の褐色の帯が入る。春先に海上を数10羽程度で飛翔しながら北上する群れを観察することがあるが、ウ類の様に編隊を組むことは無く、前後上下左右ばらばらの統一性の無い群れとなる。5月近くなると夏羽の個体も観察されるようになる。

2014年2月26日水曜日

オオジュリン Emberiza schoeniclus

 本県には冬鳥として10月下旬に流れの緩やかな堰の上流や川の下流、遊水地などにひろがるヨシ群落に飛来し、翌年の4月中旬に繁殖地へと去る。ハマダイコンにつくアブラムシ、カイガラムシやヨシの茎を裂いて中の虫やヨシの穂を採食した記録がある。ヨシ群落を移動するときは、飛び込んでしばらくすると茎を登り、穂の上に長くとどまらずに動きまわる。地鳴きはチーチーと鳴き、4月渡去前にチュイーンと囀る。オスは渡去前に頭と喉が黒くなり、白い頬線の夏羽に変わる。
 神奈川県では、ヨシ原の減少により分布が狭められているとして非繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類に区分されている。

2014年2月24日月曜日

ミツユビカモメ Rissa tridactyla

 ユーラシアと北米の亜寒帯域沿岸で繁殖する小型のカモメ類で、非繁殖期には主に外洋で生活する。成鳥では翼の先端が三角形に黒いこと、若鳥では翼の上面にW字型の黒い模様があるのが特徴である。くちばしは黄色く、黒い脚は他のカモメ類より明らかに短い。
 沖合の船からしばしば観察されるほか、稀に海岸に現れ、他のカモメ類の群れに混じって防波堤などで休息しているのが観察される。

2014年2月22日土曜日

マヒワ Carduelis spinus

 本県には冬鳥として10月に渡来し、4月に繁殖地へ移動する。丹沢、箱根、川崎市、横浜市、相模原市、鎌倉市、逗子市、藤沢市、南足柄市など各地で観察されている。
 秋冬はオオバヤシャブシ、ヤマハンノキ、アキニレ、ハンノキ、ヤシャブシ、カラスザンショウ、スギなどの木の実、春はクヌギ、イヌシデ、キブシの花芽、クヌギ、ケヤキ、コナラ、ヤマグワの花穂、コナラ、ケヤキの新芽、ナタネの実などを採食する。
 大きな群れで行動することが多く、チュインチュインという地鳴きが賑やかに聞かれる。

2014年2月20日木曜日

イソシギ Actitis hypoleucos

 本県では一年中見られる留鳥で、山地を除き、本県の河川や水田、休耕田、湿地、干潟で普通に見られる。繁殖は河原の中州などの低木や草の根元などに4個の卵を産み、約21日間抱卵する。孵った雛は半日ほどで歩き出す。親鳥は外敵等が近づくと擬傷を行うことが多いといわれるが、本県では雛や擬傷を観察した記録は殆どない。
 水際で尾を大きく上下に振りながら歩き、水中や砂利の間から昆虫などを採食する。チーリーリーと甲高く細い声を出して水面近くを直線的に飛ぶ。
 神奈川県での繁殖および生息環境が人為的要因により不安定になってきているとして、繁殖期希少種、非繁殖期は注目種に区分された。

2014年2月18日火曜日

カワセミ Alcedo atthis


 留鳥または夏鳥として全国に分布する。本県ではほぼ全域の水辺で生息し、繁殖している。土の崖に穴を掘って営巣する。求愛給餌をよく行う。空中でホバリングをしたり川に突き出した枝などからダイビングをしたりして魚を捕える。採った魚は枝に叩きつけて咥え直してから頭から呑み込む。魚の他、オタマジャクシ、エビのなかま、アメリカザリガニの採食が確認されている。チィーと鳴きながら水面をかすめるように直線的に飛ぶ。

2014年2月16日日曜日

イカルチドリ Charadrius placidus

 本県では留鳥として生息し、越冬期には各地の中小河川や水田、池などで見られている。繁殖は相模川、酒匂川とその周辺でほぼ毎年記録されている。河口部より中流域や上流部で観察されることが比較的多く、他のチドリ類と異なり海岸干潟ではあまり見られない。
 河原の砂礫地で営巣する。雛は孵化後しばらくすると歩きだし、親が雛を連れ出し巣を離れる。雛は自分で水際の石の間などから水生昆虫を捕食する。外敵等の接近時は親は翼の下に雛を隠し、外敵が去るまでじっとしている。繁殖期にはピッピッピッ・・・・・と甲高く大きな声を出し、上空を旋回しながら縄張りを宣言する。地上にいるときは雌雄がピュという小さな声を出しあう。冬季は若鳥が数羽で中洲などの石の間で休息する姿を見かける。

 神奈川県では、繁殖環境である河川敷の砂礫地の草地化や樹林化により減少傾向にあることや河川敷への車や人の侵入、カラスなどによる捕食が減少の要因となっていて、繁殖期準絶滅危惧種、非繁殖期も注目種に区分された。 

2014年2月14日金曜日

ミヤマホオジロ Emberiza elegans

 本県では、冬鳥として平地から山地の疎林や都市公園、農耕地などへ渡来するが、年によって渡来状況は安定していない。単独または数羽の群れが、11月中旬から3月中旬にかけて観察されているが、特に1月から2月にかけての記録が多い。林縁や林内の少し開けた場所の地上で、草の実や昆虫、クモなどを採食する。地鳴きは、チッと一声鳴き、二音のホオジロとは異なるが、カシラダカ、アオジ、ホオアカとはよく似ているので、注意を要する。

2014年2月12日水曜日

カワウ Phalacrocorax carbo

 本県では1980/09/29に相模川河口で初確認された。その後1990年ごろから観察記録が増え始め、現在では年間を通して本県の平野部のほか丹沢、箱根の山地を含めたあらゆる水系・水域で観察されている。初めて繁殖が確認されたのは1998/05/21宮ヶ瀬ダムである。
 現在では河川に100羽単位の群れが飛来し、集団で魚類を追いこんで捕食することなどから、漁業者との軋轢を生んでいる。体が大きく、多数の群れで行動することから、他の水鳥への影響も懸念されている。
 

2014年2月10日月曜日

イカル Coccothraustes personatus


 本県では留鳥として主に落葉広葉樹林の都市公園、丘陵地、山地などに生息している。津久井湖城山公園のように一年を通して記録のある場所は少なく、繁殖期のみ記録があって秋から春には記録の無いところ、逆に越冬期のみ記録のあるところもある。
 ムクドリ大の灰色の鳥で、頭部が黒く、嘴が黄色で太く目立つ。数羽から数十派の群れで樹の梢や地上で採食しているのが観察される。採食物は木の実、草の実、ケヤキの新芽、ヤマザクラの花芽など。採食方法は、エノキなどの堅い殻を太い嘴でパチンと割って食べる。樹冠部にとまってキーコーキーとよく通る声で囀る。

2014年2月8日土曜日

ヒドリガモ Anas penelope

 冬鳥として全国の湖、河川、内湾に渡来する。本県では各地で普通に見られ数も多いが、小さな川や池には少なく、大きな河川や河口にまとまっている傾向がある。県全体ではこの10年間やや増加傾向にある。淡水カモとしては内湾を好み、アオサ等の海藻をよく食べる。採食方法は、地上で草をむしって食べたり、水面に浮いているものや流れて来るものを掬って食べたり、流木や石に付く藻等を啄んだりと環境に合わせて対応する。浅瀬での逆立ち採食もよく見られ、潜水して採食した例もある。オスはピューッという鋭く大きな声で鳴く。求愛行動はあまり観察されていない。

2014年2月6日木曜日

コミミズク Asio flammens

 冬鳥として渡来し、河川などの開けた草原や農耕地、埋め立て地に渡来する。本県では多摩川の河原に定期的に渡来していたが、近年は稀になっている。定期的な越冬地は、記録されていない。秋から冬にかけて通過個体が観察されるに過ぎない。10月上旬に渡来し、4月中旬頃まで見られる。日中はヨシ群落などの草むらに潜んでいて夕方から活動する。川岸を低くゆったりと羽ばたいてネズミなどを探すが、悪天候が続いた後は昼間から盛んに飛ぶことがある。
 神奈川県では河川改修によるヨシ群落や草原の面積の減少、河川敷のグラウンド化などにより個体数が急速に減少し、非繁殖期絶滅危惧Ⅰ類に区分されている。

2014年2月4日火曜日

タゲリ Vanellus vanellus

 本県には冬鳥として内陸部の河川や水田、休耕田に渡来する。山形県(環境省自然保護局生物多様性センター2005)や茨城県(日本鳥学会2000)で繁殖例がある。
 単独で見られることもあるが群れで見ることが多く、茅ヶ崎や平塚、小田原などでは毎年同じ場所で見られる傾向にある。飛来地は湿り気のある場所が多く、ミミズや昆虫などを採食している。時には草の実を食べることもある。また片足で地面を叩き、追い出して採食することがある。
 神奈川県では、水田の乾田化や宅地開発により、生息地となる湿田が減少または消失しているとして、非繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類に区分された。

2014年2月2日日曜日

キクイタダキ Regulus regulus

 本県では、主として冬鳥として渡来し、11月から4月まで観察されるが、山北町大野山と愛川町仏果山では6月に囀りが観察されている。
 スギやヒノキ、クロマツなど、針葉樹林の枝先でホバリングしながら虫を捕食したり、ぶら下がって採食する行動が見られる。ヒガラ、ヤマガラ、シジュウカラ、コゲラ等と混群をつくり移動することもある。囀りはチリチリチリ、チーチーチーと細く高い。
 繁殖は過去に1998/06/19清川村堂平、1990/05/16伊勢原市大山、1998/03/29山北町西丹沢県民の森での記録がある。神奈川県では、モミの伐採や自然遷移による繁殖環境の減少が要因で、繁殖期・希少種に区分されている。

2014年1月31日金曜日

カワアイサ Mergus merganser

 北海道東部で少数が繁殖するが、主に冬鳥として広い湖沼に群れで渡来する。本県では少なく、分布も局地的である。1999年までは芦ノ湖に毎冬数十羽が渡来していたが、湖ではその後数が減り、最近では、酒匂川中流域で数十羽が、相模川中流部でも毎冬越冬している。多摩川中流域でも観察されているが不定期である。
 潜水して魚を捕食する。メスに比べてオスの観察例が少ないが、オスのエクリプス羽がメスと認識されている可能性もある。

2014年1月29日水曜日

トラツグミ Zoothera dauma

 本県では一年を通して見られる留鳥である。繁殖期は主に箱根町、南足柄市、愛川町、津久井町、相模原市、厚木市、丹沢山地などの県西部で見られる。越冬期には平地や丘陵地の比較的薄暗い林を好み、県内の広い範囲で確認されている。
 囀りはヒー、ヒーまたはヒョー、ヒョーと口笛に似た細い声。採食は、昆虫、ミミズ、ムカデなどの動物質の他、植物質のヤブラン、イヌホオズキ、ヒサカキ、ヤブコウジの実などが記録されている。林床に降りて落ち葉を払いのけながら主にミミズを採食している様子が観察されている。

2014年1月27日月曜日

ハジロカイツブリ Podiceps nigricollis

 小型のカイツブリ類。本県では冬鳥として主に海上で見られ、潜水して魚類を捕食する。群れで行動していることが多く、潜水する際は一羽が潜ると他の個体も次々と潜水し、一斉に浮上する。
 ミミカイツブリに似ているが、少し小さく頭部の黒い部分の形が異なる。頭頂の形も本種はオムスビ型にとがって見えるが、ミミカイツブリはなだらかに見える。
 相模湾、東京湾沿岸と多摩川河口域などの海水域と相模原貯水池、酒匂川飯泉取水堰など淡水域でも観察されている。声量のある声でピッピッなどと鳴く。

2014年1月25日土曜日

アカゲラ Picoides major

 留鳥として主に本州以北に分布する。本県でも広く分布するが、繁殖期の記録は殆ど山地に限られており、繁殖例は少ない。冬季には丘陵地や都市公園などでも見られる。幼羽の頭部は全体が赤いためオオアカゲラのオスと似ており、識別には注意を要する。
 幹を突いて中の虫を食べるが、その際、舌を突き出す行動も見られている。また、樹皮を剥ぎ落して突いて虫を採食する行動も見られている。他に植物としてイヌシデの実を食べた記録もある。
 冬季にはメジロ、シジュウカラ、ゴジュウカラなどととの混群に入っていた例もある。鳴き声は、キョッキョッ、ケッケッ、クワックワッなどが記録されている。

2014年1月24日金曜日

トモエガモ Anas formosa

 冬鳥として渡来するが、東日本では少ない。本県には、ごく少数が渡来する。相模原貯水池では1996年に8羽、1998年に17羽が記録され、2001年1月にオス3メス2羽が観察された。これ以外は1~3羽の観察である。
 コガモの群れに入っていることが多い。特にメスはコガモとの識別に注意を要する。
神奈川県では、生息環境の悪化はあまり見られないものの、越冬する例は減少し、特に定期的な渡来地が消失しつつあるため、非繁殖期・希少種に区分されている。

2014年1月22日水曜日

オオタカ Accipiter gentilis

 本県では年間を通して全域で見られ、特に9月から3月にかけての記録が多い。繁殖期の個体数は1990年代から増加傾向にあり、平地から丘陵地の自然林で繁殖が確認されている。しかし神奈川県では、宅地開発や道路建設などによる生息地の森林の悪化、消失および雛の密猟や観察、撮影をする人の侵入が見られ、生息基盤は安定しているとは言えないとして繁殖期絶滅危惧Ⅱ類に、非繁殖期希少種とされている。
 捕食は主に鳥類。魚を狙った例もあった。鳴き声は繁殖期に出すキィーキキキキー、鳴き交わしでキョッキョッに対してのピャーピャー、その他キョッキョッキョッ、カッカッカッ、ピューイピューイなどが記録されている。

2014年1月21日火曜日

カンムリカイツブリ Podiceps cristatus

 大型のカイツブリ類。国内では局地的に繁殖しているが、本県では冬鳥として主に比較的波の穏やかな海上や大きな河川、湖などで見られる。潜水して魚類を捕食する。アカエリカイツブリより首がずっと長く見える。飛翔中も肩と次列風切の白い部分が目立つ。
 相模湾から東京湾沿岸にかけての海岸部や多摩川、相模川、酒匂川などの大きな河川の中~下流域、内陸の津久井湖、芦ノ湖など広い範囲で観察される。また、6~8月の夏季にも数例の記録がある。

2014年1月19日日曜日

アリスイ Jynx torquilla

 夏鳥として北日本に渡来する。横浜東部から小田原にかけての水辺および河川の流域沿いで観察されている。
 本県では9月中旬から4月にかけて農耕地など開けた場所で記録されている。また、ヨシ群落などの湿地や枯れ木の根元付近でアリを採食している観察例が複数寄せられている。
 鳴き声は、キョッキョッ・キョッキョッ、キィーキィキィキィクィクィなどが報告されいる。

2014年1月17日金曜日

ハシビロガモ Anas clypeata

 主に冬鳥として本州以南の湖沼、川、河口に渡来する。オスは黒い頭部、雌雄ともに大きな嘴をもつ。芦ノ湖、相模湖、宮ヶ瀬湖など山間の大きな湖では全く見られない。大きな嘴を水面で左右に振り、水面に浮く細かい藻や微細な食べ物を漉しとって食べるが、逆立ち採餌もよくする。また、数羽以上の群れが水面に輪を描いて嘴を水面につけて採食する行動も観察されている。人が与えるパンなども食べる。
 

2014年1月16日木曜日

ハヤブサ Falco peregrinus

 本県には冬鳥として渡来し、稀に留鳥として繁殖する。種の保存法掲載種。海岸、河川、農耕地、市街地など開けた場所で見られ、山地でも記録がある。神奈川県内では、二か所で繁殖が確認されているが、詳細については報告されていない。神奈川県では繁殖個体群が少なく、生息基盤が極めて脆弱であるとして、繁殖期・絶滅危惧Ⅰ類に、非繁殖期は渡来個体群が少なく、希少種に区分されている。
 繁殖活動の記録として、空中での求愛給餌やディスプレイが観察された。海岸の断崖、人工建造物、樹上などの高い位置で、休息したり、獲物を狙ったり、捕獲したものを食べる。あるいは体の手入れを行うなどの行動が数多く記録されている。空中で鳥類を捕えることが多く、獲物を狙うと翼をすぼめて急降下するのがよく見られる。

2014年1月14日火曜日

セグロカモメ Larus argentatus

 ユーラシアから北米の亜寒帯や寒帯で広く繁殖する大型カモメ類。日本には主に冬鳥として渡来する。背中は淡い灰色で、初列風切が黒く、脚は肉色かピンク色をしている。本県では、主に9月から4月頃まで観察され、夏には少数の個体が残留することがある。港湾や大きな川の河口部で見られることが多く、他のカモメ類と混群をつくる。しばしば内陸部の川や貯水池、ダム湖などにも出現するが、単独か数羽の成鳥であることが多い。相模原市の相模川では冬季に単独の個体が頻繁に見られる。干潟や川でコイやボラのような大型の魚の死体を啄んでいるところがよく観察される。

2014年1月13日月曜日

ウソ Pyrrhula pyrrhula

 本県には冬鳥として11月に渡来し、4月に繁殖地へ渡る。平地、川原、畑から山地などに生息している。
 採食物はサクラの芽、蕾、フサザクラ、ウメ、クヌギ、キブシの芽、エゴマ、カナムグラ、イノコヅチ、カラムシ、コアカソ、タマアジサイ、ガクアジサイ、マルバウツギ、ムラサキシキブ、スイカズラの実が観察されている。
 地鳴きはフィフィ、ヒィフ、フィーフィーと鳴く。囀りはフョーフィフィと鳴き、地鳴きに似ている。
 2006年と2012年の冬はウソの渡来数が多く、各地の都市公園や住宅地の小さな公園でも観察された。
 亜種のアカウソPyrrhula pyrrhula rosacceaは、ウスリーやサハリンで繁殖した個体である。

2014年1月11日土曜日

ヨシガモ Anas falcata

 本州以南では冬鳥であり、本県では酒匂川などの大きな河川や湖に渡来するが少ない。相模原貯水池では毎年20~30羽前後が見られていたが、2004年以降減少傾向にある。一方相模川中流では2002年以降毎年20羽程度が見られている。酒匂川河口や飯泉堰、多摩川中流では毎年観察されているが、その他では不定期である。 山間のダム湖では見られていない。
 他の淡水カモと同じように、水草や水面浮遊物を食べ、陸上で草を食べるのも観察されている。オスがメスを取り囲んで鳴きながら首を伸ばしたり曲げたりするディスプレイ行動が見られる。

2014年1月9日木曜日

ベニマシコ Uragus sibiricus




 本県には冬鳥として11月に渡来し、4月に繁殖地へ移動する。ヨシやススキの生える河原で多く観察されている。
 採食は、オオブタクサ、カラムシ、スイカズラ、セイタカアワダチソウ、ハコベ、ヒカゲイノコズチなどの草の実、ウツギ、フサザクラ、マメガキ、ヤシャブシなどの木の実やヤナギの新芽、ヨシの茎を突いて虫を食べたという採食例がある。
 大きい群れは造らず、多くて10羽程度である。地鳴きはフィーフィー、フィホッ、フィホッと聞こえる。

2014年1月7日火曜日

オオバン Fulica atra

 本県では主に越冬期に大きな河川や湖沼で見られるが、近年その数が多くなり、分布を広げている。関東では、茨城県や千葉県で繁殖しているが、全国的に見ると繁殖範囲は局所的であり、繁殖例も少ない。(環境省自然保護局生物多様性センター2005)
 本県では2000/06/18に川崎区浮島町の処理場の池で、4つがいの繁殖が初めて確認された。ヨシ群落や草むらに枯葉を積み上げ産卵する。孵化した雛は全身が黒く、顔には赤と青の皮膚が露出した部分がある。
 オオバンには足に弁足というヒレがあり、泳ぎが得意で、葦原などを歩いて移動する姿はあまり見かけない。採食は泳いでアオサやミズゴケなどの水草や水生昆虫などを採るが、水に潜って水草を採ることも多い。水面を泳ぎながらクエーン、クエーン、キョキョと聞こえる声で鳴く。冬は群れで生活することが多く、水草を巡りカモなどと争う姿もよく目にする。