解説


 神奈川県内で記録されている鳥と、主にその生息状況について解説しています。
解説文は、日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥の文章を基にしています。




2013年11月30日土曜日

エナガ Aegithalos caudatus

 本県では留鳥として、丘陵地から山地にかけての森林に生息し普通に見られる。秋から冬にかけては平地の都市公園や人家の庭先でも観察される。繁殖期はつがいで縄張りを持ち、都市部を除く全域で普通に繁殖している。木の枝の又にお椀状の巣を作り、巣材としてクモの糸や苔、羽毛、獣毛を使う。

 冬季はシジュウカラやヤマガラ、メジロ、コゲラなどと混群をつくり、行動する。主に枝先近くで昆虫、クモ類、木の実を採食する他、葉先のアブラムシを停空飛翔しながら捕食する。ミズキ、サクラ、アカメガシワ、カラスザンショウ、シデといった木の実やサクラの花の蕾、カラマツの芽、餌台に置かれた柿の実、昆虫の幼虫を採食したという観察例が報告されている。
 一年を通じてジュリジュリ、チリリリーという声で鳴き、地鳴きはチッと小さな声で鳴く。






2013年11月27日水曜日

スズガモ Aythya marila

 冬鳥として全国の内湾、河口などに大群で渡来する。本県では、多摩川河口や東京湾側の内湾で大群が見られる。相模湾側の海岸でも数10羽の群れが見られるが、内陸の湖や小さな川では時たま少数が見られる程度である。川崎区の浮島処分場の池や金沢区の長浜池など、海に近い池を昼間の休息場所として数百羽が利用している。
 潜水して水底の動植物を採食するが、他にもアオサが多く観察され、カニや二枚貝(カキ)も観察されている。水面採食や逆立ち採食も行う。鳴き声の観察記録や求愛行動はあまり見られない。
 東京湾の奥(三番背付近)では毎年10万羽規模の越冬があり、秋の渡来や春の渡去の移動時期に横浜川崎付近に大群が現れることも考えられる。金沢区のベイサイドマリーナ北側海面では春の渡り前の動きかと思われる大群(数千~一万羽)が1990年代に何度か観察され、1998年11月には約12,000羽の大群が見られた。また、2002年12月には真冬であるが、約4,000羽の大群が記録されている。

2013年11月23日土曜日

カシラダカ Emberiza rustica

 本県には冬鳥として平地から丘陵地の草地や農耕地、川原のヨシ原、疎林などへ渡来し、普通に見られる。数羽から数十羽の群れで生活するものが多い。また、スズメやヒバリ、ホオジロ、アオジ、タヒバリ、カワラヒワ、ムクドリ、ホオアカなどと一緒に採食する姿が観察されている。オオブタクサやセイタカアワダチソウ、エノコログサの種子の採食とともに、飛んでいる昆虫をフライキャッチしたという観察例が報告されている。地鳴きはチッチッと一声ずつ鳴く。また3月には囀りに似たぐぜりを聞いたという記録も寄せられている。

2013年11月20日水曜日

タシギ Gallinago gallinago

 本県には春と秋の渡り時に観察される旅鳥として、または冬鳥として水田や河川、休耕田などで観察される。冬季は、湿田が減少してしまったため河川や遊水池や、水が多少残っているよう水路などを越冬環境として生息している。日中は草や稲の切り株などの陰でじっとしていて、夕暮れと共に活動を始める。ただ曇天や雨の日などには日中から川岸や水田で採食することもある。水田の近くや川岸を歩いていると、突然ジェと鳴いて足元から飛び立つことが多く、驚かされる。警戒心が強く、草陰で外敵が通り過ぎるまでじっとしているが、眼だけはしっかりとその動向を捉えている。長い嘴を地面に突き刺して上下に動かし、地中の小動物などを捕食する。トビハゼ、ゴカイ、フジノハナガイが食物として記録されている。神奈川県では、近年、個体数の減少は見られないが、本種は常時水のある農耕地や用水路を好む傾向があり、休耕田や湿田、湿地の減少により生息環境の悪化が心配されているとして、非繁殖期・注目種に区分された。

2013年11月16日土曜日

シメ Coccothraustes coccothraustes



 冬鳥として渡来し、スズメよりも大きい。 堅い実を割って食べるため、太い嘴を持つ。体型は小太りで尾は短めで地味な色の鳥。本県では低山から市街地で普通に見られ、渡去時期には嘴は肉色から鉛色に変化する。落葉樹林に多く見られ、カエデ、イヌシデ、エノキ、カラスザンショウ、ミズキ、ケヤキ等の実を食べる。また、サクラ、クヌギ、コナラ等の蕾や新芽、花等も食べる。ソメイヨシノの葉や青虫を捕食した例や餌台にもやって来てヒマワリの種子などもよく食べる。イカル、カワラヒワ、ホオジロ類との混群での行動や数十羽の群れで行動しているときもあるが、市街地では単独で見ることが多い。

2013年11月13日水曜日

マガモ Anas platyrhynchos

 北海道と本州中部の湖沼や河川で繁殖するが、多くは冬鳥として渡来する。本県では冬鳥で、各地の池や川で普通に見られ、数も多いが、芦ノ湖、宮ヶ瀬湖などの大きな湖に集中する傾向がある。稀に海に出る。県全体ではこの10年間やや減少傾向にある。
 繁殖期にもペアが見られているが、繁殖は確認されていない。水草や陸上の草を食べる他、水面を漉し取るような採餌もする。イセウキヤガラの塊根、ヨシの穂を食べた観察がある。オスがキュッと鳴いて首を上に伸ばし、嘴を胸にひきつけるディスプレイや、ペアが向き合って頭を上下する行動が交尾の前に観察されている。鳴き声はグエーグエッグエッなどである。
 飼育されているアヒルやアイガモが野生化し、野外で繁殖していることがあるので、模様がぼけたり、体が太っていたり、大型の個体は真の野生かどうか疑う必要がある。繁殖期の観察例には、そうした個体が混ざっている可能性がある。

2013年11月8日金曜日

ツグミ Turdus naumanni


 本県には冬鳥として渡来する。渡来数も多く、11月頃から5月上旬頃まで県内全域で見られる。草地やグランド、畑などの開けた場所や林の縁の梢などにとまる。地鳴きはクエッ、クエッ、キィキィなどふた声づつ鳴くことが普通で、クワッとかキュルルという声も出す。渡来直後は林内で群れで見られ、冬に入るとともに群れは分散していく。春の渡りの前には数十羽の群れになり、囀りに近いぐぜりが聞かれることもある。一羽ずつ分かれて採食し、ピラカンサ、カラスザンショウ、ムクノキ、ハゼなどの実やミミズなどの小動物を食べる。数歩歩いては、胸を張った姿勢で立ち止まり、また数歩歩くという行動をとる。飛び立つときにクエックエッと声を出す行動が数多く記録されている。

2013年11月6日水曜日

ホシハジロ Aythya ferina

北海道東部では少数が繁殖するが、主に冬鳥として本州以南の湖沼、川、河口に渡来する。本県では1980年代末から1990年代前半に渡来数が大きく増えたが、この10年間は減少している。都市公園の池や内湾でまとまった数で見られることが多い。芦ノ湖や丹沢湖でも見られるが、小さな川に入ることはまれである。岸辺の草に隠れるような行動はせず、開けた広い水面に群れることが多い。雌雄が同数ではなく、雄が雌の2倍程度見られる。潜水して水草などをくわえ上げて食べるが、人の投げたパンなども食べる。求愛行動はあまり見られず、春になっても雌雄ペアで行動することは少ない。鳴き声が聞かれることは少ないが、ピーヨピーヨと口笛のような声で鳴いたという記録がある。4月半ばには殆ど渡去するが、羽を痛めて越夏する個体が数箇所で観察されている。

2013年11月5日火曜日

ビンズイ Anthus hodgsoni

 本県では、繁殖期には、箱根や丹沢の標高の高い地域に分布する。秋から早春にかけて、低地で広く見られる。冬季には、5羽前後の群れで、よく見られる。地鳴きは、ツウィーなどと聞こえる。昆虫、種子などを採食するといわれているが、情報は少ない。神奈川県では、県西部の標高1000m以上の山地帯上部から亜高山帯が学術的に重要な繁殖地であるが、個体数が少なく、保全の必要が高いうえ、登山者の繁殖地への侵入が心配され、繁殖環境の悪化が懸念されるとして、繁殖期・絶滅危惧2類に区分された。

2013年11月2日土曜日

アオサギ Ardea cinerea


 低地の海岸、河川、水田などの水辺に通年見られるが、標高の高い芦ノ湖や山間部の水辺でも記録がある。1980年代までは、冬鳥として渡来していたが、若鳥の越夏例は稀にあった。90年代に入り、成鳥の越夏例も見られるようになり、留鳥化した。繁殖は通常、コロニーを形成して行う。
 本県では1995年に戸塚区名瀬町で繁殖が確認され、それ以降、南足柄市、寒川町、横須賀市、藤沢市で繁殖の記録があるが、斜面林に見られることが多い。戸塚区、横須賀市では糞による害が原因で追い払われた。2006年には平塚市花水川付近と戸塚区金井遊水地で新たに営巣が観察されている。
 主に水辺で魚類を捕食するが、草地ではバッタも捕らえる。また、人が与えたパンを食べることがある。サギ類やカモメ類等他の鳥から魚を横取りするなどの観察例もある。他県では動物園内で繁殖し、海獣類の餌の魚を横取りする例も知られている。採食時も休息時も動きが穏やかで、魚を狙ったまま数分間も動かないことも多い。半開きにした翼の下面に光を受ける日光浴は本種独特のものである。夜間も活動するらしい。ゲー、ガアガアなどの声を出す。