解説


 神奈川県内で記録されている鳥と、主にその生息状況について解説しています。
解説文は、日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥の文章を基にしています。




2013年10月31日木曜日

シロハラ Turdus pallidus

本県では冬鳥として渡来し、11月から5月まで見られる。山地よりも平地の雑木林や都市公園でよく見られる。比較的暗い林を好み、芝生や畑のような開けた場所には出ることは少ない。地鳴きはキョッ、キョ・キョやツィーなどと聞こえ、アカハラとよく似ている。驚くとピョ・ピョ・ピョと甲高い声を出して飛び去る。春の渡去前の時期にヒョロンピョロンピョピョピョと囀ることがある。越冬期に同種やヒヨドリ、トラツグミ、ツグミなどの鳥たちを追い払う行動もよく観察されている。林床を歩きながら、落ち葉をはねのけ、ミミズや昆虫などの小動物を捕食する行動も数多く報告されている。また、ヒサカキやムクノキなどの実も採食する。


2013年10月29日火曜日

キンクロハジロ Aythya fuligula

 北海道では少数が繁殖するが(環境省自然保護局生物多様性センター2005)、主に冬鳥として全国に多数が渡来する。本県でも冬鳥で、1988年以前は多くなかったが、1990年代前半に増加し、その後は安定している。山地の湖では少なく、大きな群れは多摩川下流・河口や三ッ池公園、三渓園、金沢区並木船溜りなどの都市公園の池に集中している。越夏個体の観察が数例ある。潜水して海底の貝などを採食するといわれているが、海藻なども食べる。また、潜水してカニを捕食した観察もある。公園の池では人の与えるパンなども食べに寄ってくることが多い。ホシハジロとともに見られることが多く、水面に群れで漂って休息する。水面で腹を上に向けて羽繕いするのがよく見られる。求愛行動はあまり見られない。

2013年10月27日日曜日

アオジ Emberiza spodocephala

 本県には主に冬鳥として全域で観察され、平地から丘陵地の林や農耕地、川原に渡来し、公園や人家の庭先でも見られる。10月下旬から5月上旬まで観察されるが、6月8日に観察された例もある。3月から4月にかけて囀りが聞かれることもある。
 繁殖は箱根の一例が報告されている(1994)。 このほか2000年に藤沢市で巣立ち雛、7月に茅ヶ崎市で夏羽の個体が観察されており、今後も低地での繁殖例が増える可能性があるため、注意を要する。
 冬季は小群を作って生活することが多い。また、カワラヒワやシジュウカラ、ホオジロと一緒に食物を探す姿が観察されている。草の種子を採食するほか、繁殖期には昆虫やクモ類も食べる。ヨシやオギ、ススキ、オヒシバ、オオブタクサ、イノコズチの種子、梅の花の蕾、クヌギやスダジイの花、タケニグサの翼果、ミミズ、ガを採食したという観察例のほか、飛行する昆虫をフライキャッチしたという記録も報告されている。
 神奈川県では、個体数が少なく安定していないとして、繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類に区分された。

2013年10月25日金曜日

オナガガモ Anas acuta

 冬鳥として湖沼、河川に多く渡来する。本県でも各地で普通に見られ、数も多い。県内への渡来は9月下旬から始まるが、春の渡去は比較的早く、3月中には殆どが去ってしまう。芦ノ湖や丹沢湖などの山地の大きな湖には少なく、都市公園の池や川の下流に多い。海に出ることも多い。
 水草や水底の泥をかき回して出てくる小さな動植物を食べるらしく、浅瀬で逆立ち採餌をよく行う。食物が特定された観察例は少ないが、シロツメクサの記録があり、オオバンが食べていたオオカナダモを横取りした観察例もある。都市公園の池などでは人が投げたパンなどに集まることも多いが、こういう場合警戒心が少なく、真っ先に人馴れする傾向がある。
 一羽のメスを数羽のオスが取り囲んで、首を上下し、尾羽を立てる求愛行動が見られ、そのときにピリリッ、ピリリッとかヒューヒューと鳴くのが観察されている。また、同様の求愛行動で、嘴を水に浸けてから首を伸ばし、そのときにクッ、クッと鳴く観察例もある。

2013年10月23日水曜日

ハクセキレイ Motacilla alba

  本県ではかつて冬鳥として渡来していたが、1970年代前半から繁殖が見られるようになり、その後繁殖分布を広げた。秋と冬の観察記録が多いが、四季を通して公園、街路、畑、川などでよく観察されている。建物や橋桁の隙間に営巣することが多い。チチッチチッ、チュチュッチュチュッなどと鳴いて波状飛行をすることが多い。フィリーッフィリーッとよく澄んだ声で鳴くこともある。歩いたり飛んだりしながら採食するが、ハエ、コメツキガ二、ゴカイ、ドッグフード、小魚、アキアカネ、アオムシ、コマセ、ミミズなどが記録されている。秋から冬には、街路そばの電線や街路樹、広告塔などで、300羽以下の集団ねぐらが観察されている。橋桁や工場の屋根などでは数百羽が集合するねぐらがある。他の鳥を追いかけることも多く、コアジサシ、トウネン、ハヤブサ、キセキレイ、ドバト、ハシブトガラス、ツバメ等が記録されている。

2013年10月21日月曜日

オシドリ Aix galericulata

 山地の渓流や湖沿いに繁殖するが、本県では、主に冬鳥として丹沢湖、宮ヶ瀬湖などの周囲を森に囲まれた大きな湖に渡来する。岸辺に広葉樹がかぶさるような環境があれば小さい池に来ることもある。開けた川で見られるのは秋の渡りの時期のことが多く、海水域に出ることは殆ど無い。
 芦ノ湖では以前多く見られたが、1997年以降記録が無い。一方、相模原貯水池では2002年から多数(200羽以上)記録される年がある。雌雄が同数ではなく、オスがメスの1.5倍程度見られる。
 クエッとかクィーと鳴く。草の実やドングリを好んで食べるが、セミを食べた観察例もある。湖岸の木の下の岩や木の枝にとまって休むことが多い。1991年には室伏友三氏によって芦ノ湖で繁殖が確認された(1991.10.06付朝日新聞湘南版)。また、1997年7月に相模川でも繁殖が記録され、同所で2004年7月に雛10羽、2003年、2005年にも幼鳥が観察されている。
 神奈川県では、繁殖期に営巣場所となる樹洞を持つ大木の減少などから、繁殖環境の悪化が懸念されるため希少種に、非繁殖期は越冬環境である、湖岸に樹木が覆いかぶさるような水域がダム湖などでは安定しないため、減少種に区分された。

2013年10月19日土曜日

ジョウビタキ Phoenicurus auroreus



 本県では冬鳥として渡来する。10月中頃から4月はじめまで見られる。平地から山間部まで、県内の殆どの地域に分布し、林縁、公園、人家の庭など明るく開けた環境でよく見られる。
 越冬地では雌雄それぞれ一羽づつのテリトリーをつくる。地鳴きはヒッヒッヒッ、カッカッ、カタッカタッなどと聞こえ、渡来直後のテリトリー宣言の時期によく聞かれる。尾を頻繁に上下に振る行動もよく見られる。
 地上で昆虫やクモ類を捕食したり、ヌルデやカラスザンショウ、コムラサキ、ノイバラなどの果実を採食する。

2013年10月17日木曜日

コガモ Anas crecca

 少数は本州の山地や北海道で繁殖するが、主に冬鳥。本県では他のカモより早く9月から渡来し、個体数も多く、5月頃まで滞在する。渡来当初のエクリプス羽は雌雄の識別が難しい。秋の群れは大きいが、徐々に群れは小さくなっていく。各地の川や池に分散して生息する。
 岸の草に隠れて休むことが多い。石に付いた藻類や水面を流れる草の種子などを食べる他、泥を濾し取るような採食もする。野外観察では何を食べているかが分かりづらく、食べたものを特定した例は少ないが、ガマの穂を食べた観察例がある。1羽または少数の雌の周りを雄が取り囲んで、頭を胸につけた後上に伸ばし尾を上げる求愛ディスプレーが見られる。雄は、短くピリッ、ピリッまたはピッピッと鳴くが、求愛行動で雄がヒューヒューとか、ピーピーキーと鳴くのが観察されている。
 亜種アメリカコガモ A.c.carolinensisの雄が稀に記録されている。2000.12.23酒匂川富士道橋、1992.03.15相模川社家水道橋の例などがある。

2013年10月15日火曜日

マミチャジナイ Turdus obuscurus

 本県では旅鳥として渡来する。シロハラやツグミより早く、10月上旬から11月にかけて、少数であるが県東部の丘陵地の明るい雑木林や樹木の多い公園で見られる。今回の記録(2001~05)では、全て県東部、三浦半島での観察であった。春の渡りの時期の観察例は少ない。また秋の渡りの時は群れでいることが多く、まれであるが冬季の記録もある。アカハラに似ているが、大きさは少し小さい。雌雄ともに眉の白い斑が目立つ。頭部は灰色味があり、嘴の基部も白い。キョッ、キョッやツィーと鳴く地鳴きはアカハラの声と似ている。ミズキやムクノキなどの実を好んで食べる。林床を歩き、ミミズなどの小動物を捕食する。何かに驚くと一斉に樹上に飛び上がる。


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2013年10月13日日曜日

ミユビシギ Crocethia alba

 本県では春秋の渡りの時期に観察されるが、越冬個体も見られる。主に海岸の砂浜や海岸で見られる。県内では、茅ヶ崎から藤沢にかけての海岸及び三浦海岸(三浦市金田~横須賀市津久井浜)での観察例が多い。また、多摩川河口、相模川河口、金沢区野島、大磯町照ヶ崎と記録されている。本種の内陸部での記録としては珍しい、厚木市戸田の記録も一例ある。
 砂浜では波が引くと駆け寄って採食し、波が寄せて来るとちょこちょこと逃げていく行動を繰り返す。また集団で休息する姿もよく目にする。採食しながらクイリリ、クイリリ、ピクイリリ・・・・と小さな声で鳴くことがある。また、多摩川河口では、サウスオーストラリアの標識を付けた個体が観察されている。
 神奈川県では、渡来環境である河口干潟の減少や海岸環境の変化により観察例、渡来場所、渡来数ともに減っているとして、非繁殖期・絶滅危惧Ⅰ類に区分された。



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2013年10月12日土曜日

カケス Garrulus glandarius


 本県では、繁殖期には箱根、丹沢、小仏峠などの山地に分布し、繁殖していると考えられるが、今回は(2001~05)繁殖に関する記録は報告されていない。秋冬には平地へも漂行する。
 ジェージェーとしゃがれた声で鳴き、他の鳥などの鳴きまねをよくする。基本的には雑食性であるが、秋にはクヌギ、コナラ、シイ等のドングリを好んで食べる。また、貯食の習性が知られており、これらの樹種の種子散布の上で大きな役割を担っていると考えられている。


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2013年10月10日木曜日

ダイサギ Egretta alba

 本県では河川、池沼、海岸などの水辺で通年観察されるが、コサギより個体数は少ない。夏季より冬季に個体数は多い。夏鳥または留鳥として繁殖する亜種チュウダイサギと、冬鳥として渡来する亜種オオダイサギがあるが、識別は困難。営巣は他のサギ類に混じってコロニーを形成して行う。今回、中原区で繁殖が報告された。モツゴ、ドジョウ、キンギョ、ハゼ科不明種などの魚類の他アメリカザリガニ、ミミズを捕食した観察例がある。

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2013年10月9日水曜日

アマツバメ Apus pacificus

夏鳥として渡来する。本県ではほぼ全域で観察されるが、その殆どが春と秋の渡りの時期に上空を飛ぶ姿を見たものである。繁殖の時期にも記録はあるが、繁殖の事例は無い。伊豆半島(叶内1998)や富士山(環境省自然保護生物多様性センター2005)等で繁殖しているので、そうした場所から飛来したものと考えられる。また近年は冬季の記録が数例あるが、これが越冬個体なのかどうかは分かっていない。
 数羽から数十羽で上空をスピーディーに大きく旋回しながら虫を捕らえる。渡りの頃はツバメやイワツバメ、ヒメアマツバメに混じって飛ぶのが観察されている。飛びながら鳴く声はチリリー、チュリリリリと聞こえる。

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2013年10月7日月曜日

セイタカシギ Himantopus himantopus

 本県では以前は稀な旅鳥や冬鳥として飛来していたが、最近では多摩川河口などで、一年中観察されている。初記録は1977.10.16鶴見区大黒埋立地である(神奈川県立博物館1982)。相模川や酒匂川でも夏には河川や水田、休耕田などで毎年観察されている。
 東京湾の湿地での繁殖が観察されているため(環境自然保護局生物多様性センター2005)、本県での繁殖状況について今後注意してみていく必要があるだろう。
 他のシギと違い長い脚を生かして、深い場所での採食も可能で、水中から小魚やゴカイなどの水生生物を採って食べている。鳴き声はピヨピヨ・・・・と聞こえる。また、ゲゲッと濁った声を出し、威嚇することもある。長い脚を正座のように折り曲げて座り休息することもある。

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2013年10月5日土曜日

ハチクマ Pernis apivorus

 本県には夏鳥として渡来し、山林に生息するが少なく、秋季の渡り途中に通過する個体の記録が多い。確実な繁殖記録は無いが、繁殖期に伊勢原や厚木、津久井、秦野ではペアが確認され、継続的な観察記録がある(神奈川野生生物研究会2000)。本県では秋季の記録は9月中旬から10月上旬に多いが、8月の観察例もあった。
 採食に関する報告は本県からは皆無であるが、ハチ類の巣から幼虫や蛹を捕食することが多く、その他昆虫、爬虫類、両生類、小鳥なども捕食することが知られている。
 神奈川県では、繁殖期の生息も確認され、繁殖の可能性も高いが、個体数も少なく、繁殖環境も脆弱であるとして繁殖期・絶滅危惧Ⅰ類に区分された。


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2013年10月3日木曜日

ダイゼン Pluvialis squatarola

  本県では春と秋の渡りの時期に観察されるが、春より秋の渡り時に多く見られる。しかし、いずれにしても観察記録は少ない。内陸部で観察されることは滅多に無く、主に多摩川河口や三浦半島の海岸などで見られる。東京湾では越冬する個体も多く、一年中観察されるが、県内ではその傾向は見られない。
 干潟で歩きながら泥の中からゴカイを引張り出し、水洗いをして食べる。鳴き声はピーユ、ピーユと幾分尻上がりに聞こえる。
 神奈川県では、主な渡来地である大きな河川の河口部や干潟などが海岸開発などにより減少している状況から、非繁殖期・減少種に区分された。


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2013年10月1日火曜日

チゴハヤブサ Falco subbuteo

 夏鳥として北日本に渡来して繁殖する。本県では、春秋の渡りの時期に観察されるが、秋の9月上旬から10月の記録が殆どである。全般的に記録は少ない。飛びながらトンボ、蝶などの昆虫を捕食するのが観察されている。ノスリ、チョウゲンボウをモビングした例、チョウゲンボウにモビングされた例がある。鳴き声としてピキピキピキピキ・・・・・が記録された。


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