2013年9月22日日曜日

エリマキシギ Philomachus pugnax

 本県では旅鳥として渡来するが、数は少ない。主に秋の渡りの時期である8月中旬~9月下旬にかけて内陸の休耕田などで観察される。相模原市下溝相模川、座間、相模川河口、平塚市や海老名市、大井町周辺の水田や休耕田で採食しているのが観察されている。
 夏羽は首に襟巻状の飾り羽を持つが、国内で完全な夏羽を持った個体を見ることは殆ど無い。また、本県での春季の記録は稀である。過去に1981.05.02茅ヶ崎市赤羽根で夏羽に換羽中の個体が観察されたことがある。また、冬羽については、1988.03.20海老名市社家の水田、1993.04.29厚木市相模川、1994.03.14三浦市初声の水田でツルシギと一緒にいる個体が観察されている程度に過ぎず、非常に少ない。これは淡水生のシギが、春の時期に渡来するための環境である湿田や蓮田などが本県に無いためである。三浦市宮田の水田や茅ヶ崎市赤羽根の湿田も開発されたり、改良されたりして過去の面影は見られない。関東では蓮田等の湿田が残る霞ケ浦周辺で成鳥夏羽が観察される機会がある。
 神奈川県では、秋季の渡来環境である内陸部の休耕田が減少したり、換水期間が早まったりする中で渡来数が減少しているとして、非繁殖期・準絶滅危惧種に区分された。


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