解説


 神奈川県内で記録されている鳥と、主にその生息状況について解説しています。
解説文は、日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥の文章を基にしています。




2013年9月29日日曜日

ハマシギ Calidris alpina



 本県では春と秋の渡りの時期、または冬季に海岸や河口、入江などで大群が観察される。秋の渡りの時には、内陸部の休耕田などで観察されることもある。また、冬季、多摩川河口、相模川磯部堰、酒匂川などで越冬する個体も見られる。
 シギのなかまでは比較的観察機会の多い種である。夏羽には腹部に黒い模様が見られる。干潟では泥の表面や水中を突きながら、ゴカイや小さな甲殻類を採食する。採ったものを水洗いする行動も観察される。時折一斉に飛び上がり、一糸乱れぬ群飛行を繰り返す。ジュールジュールと鳴きながら飛ぶ。
 神奈川県では、渡来環境である干潟や河川の泥濘地、休耕田などの減少に伴い、観察例、渡来数の減少が著しいとして、非繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類に区分された。

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2013年9月27日金曜日

ヒヨドリ Hypsipetes amaurotis


 
  本県では、全域で一年中観察され、繁殖もしている。4月と9~10月には、数十羽から数百羽の群れでの飛行がよく観察されており、留鳥性の個体のほか、旅鳥または冬鳥として渡来するものもあると推測されている。
 繁殖は、平野部の街路、民家、公園などで5~9月に観察されている。
 食物として、動物では、アブラゼミ、トカゲ、カマキリ、バッタ、ヒキガエル、ガ、ムカデ、モンシロチョウ、
 植物の実では、ヌルデ、ヘクソカズラ、クワ、ネズミモチ、ピラカンサ、ヤツデ、クロガネモチ、マンリョウ、ユズリハ、ヒサカキ、センダン、イイギリ、アオキ、ムラサキシキブ、ミズキ、エノキ、ヒメリンゴ、カラスザンショウ、キンカン、センリョウ、ミカン、カラスウリ、ハゼ、キハダ、キヅタ、タブ、
 花芽では、タチヤナギ、クコ、花びらではサザンカ、サクラ、キブシ、ナンテン、コブシ、アジサイ、ハクモクレン、ヤブツバキ、クサギ、レンギョウ、
 新芽では、ポプラ、ケヤキ、コナラ、ツルウメモドキ、シダレヤナギ、花蜜では、ツバキ、ウメ、モモ、
 葉では、ハマダイコン、ホウレンソウ、ブロッコリー、キャベツ、オオイヌノフグリ、ハクサイ、その他、牛脂、ポップコーンなどが記録されている。


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2013年9月25日水曜日

アカエリヒレアシシギ  Phalaropus lobatus

 本県では春と秋に沖合の海上を通過するが、水田や河口などにも飛来することがある。水田では休息をしたり、円を描くように、クルクルと回りながら採食する独特な行動が見られる。こうすることで水の中に渦を起こし、浮かび上がってくる小動物を捕食している。足指にはヒレ状のものがあり、歩行は得意ではない。鳴き声はあまり聞くことはないが、飛び立つときにジェジェと鳴くことがある。また、タマシギの様に一妻多夫の繁殖形態を持つため、オスよりメスの方が鮮やかな色合いをしている。

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2013年9月23日月曜日

コサメビタキ Muscicapa dauurica

 
 本県では夏鳥として渡来し、4月頃から観察されるが、主として9月10月の秋の渡りの時期の丘陵地や都市公園の林で観察される例が多い。生育環境は、山地や丘陵地の明るい林を好む。繁殖は、1989.07/01津久井町長竹で給餌を、1995.07/29清川村堂平で幼鳥を確認している。

 シジュウカラ、ヤマガラ、エナガ、コゲラ、メジロの群れや、センダイムシクイ、エゾビタキ、キビタキ、スズメと一緒の行動が確認されている。異種間の争いではハクセキレイに追われたり、シジュウカラを林内で急旋回で追ったり、エゾビタキと争った例がある。
 採食ではトンボなどの昆虫をフライキャッチしたり、カラスザンショウやミズキの実を食べ、葉裏をのぞきこむような行動も観察されている。囀りはメジロのぐぜりのような キュイ チチーキキキクイクイと複雑な小さな声で数分鳴いたのが確認されている。
 神奈川県では、森林伐採・ゴルフ場建設や宅地開発により繁殖に適した林の減少を要因として、繁殖期・絶滅危惧Ⅰ類に区分された。

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2013年9月22日日曜日

エリマキシギ Philomachus pugnax

 本県では旅鳥として渡来するが、数は少ない。主に秋の渡りの時期である8月中旬~9月下旬にかけて内陸の休耕田などで観察される。相模原市下溝相模川、座間、相模川河口、平塚市や海老名市、大井町周辺の水田や休耕田で採食しているのが観察されている。
 夏羽は首に襟巻状の飾り羽を持つが、国内で完全な夏羽を持った個体を見ることは殆ど無い。また、本県での春季の記録は稀である。過去に1981.05.02茅ヶ崎市赤羽根で夏羽に換羽中の個体が観察されたことがある。また、冬羽については、1988.03.20海老名市社家の水田、1993.04.29厚木市相模川、1994.03.14三浦市初声の水田でツルシギと一緒にいる個体が観察されている程度に過ぎず、非常に少ない。これは淡水生のシギが、春の時期に渡来するための環境である湿田や蓮田などが本県に無いためである。三浦市宮田の水田や茅ヶ崎市赤羽根の湿田も開発されたり、改良されたりして過去の面影は見られない。関東では蓮田等の湿田が残る霞ケ浦周辺で成鳥夏羽が観察される機会がある。
 神奈川県では、秋季の渡来環境である内陸部の休耕田が減少したり、換水期間が早まったりする中で渡来数が減少しているとして、非繁殖期・準絶滅危惧種に区分された。


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2013年9月20日金曜日

エゾビタキ Muscicapa griseisticta

 本県では旅鳥として渡来し、主に9月、10月に観察される。生育環境は、丘陵部の明るい林縁を好み、市街地の公園でも見られる。樹冠部で見られることが多く、シジュウカラ、メジロ、コゲラと混群をつくり、コサメビタキと一緒にいるところも確認されている。
 アメリカセンダングサ、メタセコイヤ、サクラの枝、公園のロープにとまった記録もある。ミズキ・カラスザンショウ・リョウブ・アカメガシワの実をホバリングしてくわえたり、昆虫を食べたり、ときに飛んでいる昆虫をフライキャッチする。
 また、虫を枝に叩きつけて食べた記録もある。 鳴き声はツィー、ツィーと鳴いた記録がある。
 以前は富士山でも繁殖していたが、最近では確認されていない。

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2013年9月18日水曜日

トウネン Calidris ruficollis

 本県では春と秋の渡りの時期に観察されている。春に比べ秋の時期は、観察機会も多く、幼鳥を見ることが多い。海岸の砂浜では数10羽の大きな群れを見ることがある。内陸部の水田や河川に現れることもあり、1羽か数羽で中洲の石の間や水際を盛んにつついている。主に小型の甲殻類や水生昆虫などを採食している。地上でチリチリチリと細い声をあげながら動きまわる。
 神奈川県では、河口干潟などの減少や内陸部の河川の護岸工事等で採食する泥湿地が減少し、渡来数や渡来例が激減しているとして、非繁殖期絶滅危惧Ⅱ類に区分された。

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2013年9月16日月曜日

ツツドリ Cuculus saturatus


 夏鳥として丘陵地から山地の森林に渡来する。本県では相模川以西の山地に生息する。早いものは3月から出現し、遅いものは11月9日の記録まである。
 センダイムシクイ、アオジ、ビンズイ、オオルリなどに托卵するといわれているが、本県での繁殖は未確認である。
 記録の殆どが山地での囀りを聞いたものだが、秋の渡りの頃に平地の同じ場所に数日間滞在してガの幼虫を採食した観察例があった。他にガの成虫を捕食した記録もある。


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2013年9月14日土曜日

チュウサギ Egretta intermedia

 本県では通年見られるが、コサギより個体数は少なく、秋の観察例が比較的多い。寒川町(1997)で繁殖が確認されている。営巣や就塒は通常他のサギ類と混じって集団で行う。
 水田、川、湿地などの淡水域で観察されることが多いが、干潟や畑での観察例もある。ドジョウなどの小魚・カエル・アメリカザリガニ・コオロギの捕食が観察されている。
 秋季には、夕方塒に戻った群れが再び飛び立って渡りを開始した例、海上を数羽の群れで渡っていく例が観察された。


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2013年9月12日木曜日

センダイムシクイ Phylloscopus coronatus

 本県では夏鳥として渡来し、主として4月から5月に見られ、引き続き10月頃の秋の渡りまで確認されている。生息環境は丘陵地の落葉広葉樹林を好み、山地や丘陵地・市街地の都市公園でもしばしば見られる。
 ムシクイ類の中では観察例が一番多く、繁殖は逗子市二子山、同森戸川、山北町ユーシンで確認されている。
 異種の争いではシジュウカラやメジロに威嚇された例が見られた。また、コガラ・ヤマガラ・シジュウカラ・エナガ・コゲラ・メジロ・アオジ・クロジ・サンコウチョウ・ヒヨドリ・スズメ等とともに移動するのが観られた。
 採食は、ホバリングをして虫を探し、フライキャッチしたり、採った虫を振り回して食べた例、ケヤキの虫やアオバハゴロモやカラスザンショウの果実を食べた記録もある。
 囀りはチヨチヨビー、チヨチヨグイー、地鳴きとしてフィッ、フィッ、フィフィフィフィフィという声が記録されている。
 神奈川県では、森林伐採や林道建設、宅地造成による生息環境の減少を要因として、繁殖期・準絶滅危惧種に区分された。

*日本鳥学会 2012年9月15日発行 日本鳥類目録 改訂第7版に従い、ムシクイ科と表記しました。




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2013年9月10日火曜日

キアシシギ Heteroscelus brevipes

 本県では春と秋の渡りの時期に観察される旅鳥で、稀に冬季に見られることもある。渡りの時には大きな群れで浅瀬で採食するのが見られる。
 シギのなかまでは、比較的観察機会の多い種である。河原、水田などで泥の中から昆虫を捕食したり、水面に浮かぶ虫なども採っている。干潟でハチゴガニやコメツキガニなども採食する。
 ピューイ、ピューイと良く通る声で鳴き、ピピピピピと激しく鳴くこともある。独特の鳴き声のため、その存在に気づくことも多い。
 神奈川県では、目立った渡来数の減少は無いが、河川改修による河川環境の変化や水田や休耕田の減少が見られ、生息環境の悪化が懸念されるとして、非繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類に区分された。

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2013年9月8日日曜日

ショウドウツバメ Riparia riparia

 
 夏鳥として北海道に渡来する。本県では、主に秋の渡りの時期に河川や水田、海岸近くの自然林等で観察されている。越冬期の記録も4例ほどある。

 ツバメやコシアカツバメと混群をなして飛行したり、70羽ほどの大きな群れでの飛行も観察されている。


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2013年9月6日金曜日

オバシギ Calidris tenuirostris

 本県では春と秋の渡りの時期に観察される。内陸部の河川や水田等への飛来は稀である。以前は、座間や平塚で観察されたこともあったが、この10年ほどは記録されていない。殆どは海岸や河口の干潟で見られる。
 採食は嘴を根元まで差し込んで、泥の中の小動物やゴカイ、フジノハナガイ等の貝類や甲殻類を採っている。岩の割れ目などを突いて採食することもある。鳴き声はキイッとか、クワッと聞こえる。
 現在は、藤沢、鎌倉、三浦市毘沙門海岸、多摩川河口、城ケ島等で観察されている。
 神奈川県では、渡来環境である河口干潟の減少、河川環境の変化等により観察例も個体数も減少しているとして、非繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類に区分された。


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2013年9月4日水曜日

ウミネコ Larus crassirostris

 日本海周辺地域のみで繁殖する世界的に見ると分布の狭い中型のカモメ類で、成鳥でも尾羽の先端部に黒帯を持つことで、他種から容易に識別できる。
 県内での繁殖例はないが、繁殖期にも残留する若鳥や亜成鳥がいるため年間を通して観察される。特に夏から秋にかけて大きな群れが見られ、8月以降はその中に全身が褐色の幼鳥が混ざっている。
 港湾部や海岸、河口付近で見ることが多く、防波堤、ブイ、消波ブロック、中洲などに群れを作って休息しており、冬季には他種のカモメ類と混群を作る。川を10Km以上遡ることは稀だが、相模原市磯部での観察例がある。
 海面に浮かんだ魚の死体や撒き餌などをついばみ、船から撒かれる餌にもよく集まる。嘴を水面につけたまま前進して魚を追うこともある。他に、干潟でカニを捕えたり、アブラゼミを捕食した観察例もある。


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2013年9月2日月曜日

モズ Lanius bucephalus

 本県では、ほぼ全域で見られる。繁殖は、3~8月まで観察されているが、比較的早い時期の3~5月に多い。繁殖後の6~8月にかけては、観察記録がかなり少ない。本県では500m上の標高の高い地域での観察もかなり少ない。
 キーキッキッ、キチキチ、ギチギチなどと聞こえる高鳴きは、9~10月によく聞かれる。また、他の鳥の声をまねて鳴くのは、2月によく記録され、求愛との関連も予想される。(センダイムシクイ、ヒバリ、ツグミ、ホオジロ、シジュウカラ、メジロ、カワラヒワ、ビンズイ、ヒヨドリ、コジュケイ、ウグイス、ハクセキレイ、、アオジ等が記録されている)
 小鳥類の他、自分より体の大きいヒヨドリやオナガ等も襲うことがある。はやにえとして、ミミズ、メジロの翼の一部が記録された。
 神奈川県では、市街化により緑地や草地が減少したために生息環境が狭められ、特に県東部の都市部では繁殖期の減少が著しいとして、繁殖期・減少種に区分された。


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