解説


 神奈川県内で記録されている鳥と、主にその生息状況について解説しています。
解説文は、日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥の文章を基にしています。




2013年8月31日土曜日

オオミズナギドリ Calonectris leucomelas

 全国の島嶼で繁殖し、普通に見られる。本県では、沿岸域で普通に観察される。漂着死体、洋上のソアリング、船の追尾、定置網付近の飛翔の記録がある。初認は2月下旬頃、終認は11月下旬。城ケ島沖や真鶴半島沖では、数百の群れが広範囲に広がり、群れで海面に突っ込み採食するのが観察される。その群れのなかには、カマイルカなども群れになって採食することがある。(城ケ島沖の海鳥観察グループ私信)。翼上面が黒っぽく、腹部、翼下面が白いので、遠くの群れを観察すると、白と黒の2種類の鳥が舞っているように見える。同時期に観察されるハシボソミズナギドリやハイイロミズナギドリと比較すると、ひとまわり大きく、識別は容易である。アカアシミズナギドリはほぼ同じ大きさであるが、全体に黒っぽく、下面は少し淡い。
 ミズナギドリ類の識別において、モノサシ鳥的な種で、飛翔時の羽ばたき速度・状態・翼開長・胴体の太さなど、把握すべきポイントは多い。


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2013年8月29日木曜日

メジロ Zosterops japonicus

 留鳥として丘陵地から山地の林に生息し、特に常緑広葉樹の多い林を好む。ほぼ全域で普通に見られ、繁殖も確認されている。近年、市街地の街路樹や庭木での繁殖例が増え、藤沢市や横浜市で確認されている。
 主に、木の実、花の蜜などを採食する。ヤブツバキやアセビ、ノウゼンカズラ、コブシ、ボケ、ユーカリ、モモ、ローズマリーなどの花蜜、クロガネモチやアカメガシワ、エノキ、ケヤキ、モッコク、イヌシデ、ヒメシャラ、クス、ヒサカキ、ナンキンハゼ、クワ、ヤツデ、トキワサンザシ、ミズキ、コムラサキ、ムクノキ、ノイバラ、ツルウメモドキ、トウネズミモチ、ビワ、ハゼ、シロダモ、ヤマゴボウ、ヤマナシ、シデ、ユズ、サルナシ、モミ、タラ、ヒメリンゴなどの実、マユミの種子、ヨシの穂、ベランダに置かれたミカンやポンカン、餌台に置かれた脂身や米粒、ミズキやクヌギの樹液、昆虫の幼虫や成虫、カイガラムシを採食したという観察例が報告された。
 繁殖期にオスはチイチョチュイチュイチュイなどと囀る。

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2013年8月27日火曜日

アジサシ Sterna hirundo 


 ユーラシアと北米の沿岸部・内陸部で広く繁殖し、冬は南半球に渡る中型のアジサシ類で、夏羽では頭が帽子をかぶったように黒いのが特徴である。冬羽と幼鳥では額の前方が白い。日本には旅鳥として渡来するが、近年、富山県、東京都などで少数の個体が繁殖しているのが確認された。

 神奈川県では、3~5月、8~10月に観察され、特に4月と8~9月に多い。海岸で観察されることが多いが、川も遡り、相模川磯部や中原区等々力公園などで記録された。ダイビングして魚を捕えるが、コアジサシから横取りしようとした観察例もある。定置網のブイや川の中州で休息し、コアジサシの群れに混ざることもある


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2013年8月25日日曜日

セッカ Cisticola juncidis 


 本県では留鳥または夏鳥として生息し、特に4月から9月頃までよく観察される。生息環境は平地や川原のヨシ原・ススキ原、水田の草地で見られ、イヌビエ、セイタカアワダチソウ、ガマ、ギシギシや電線に留まっているのが観察されている。草地では普通に繁殖するが、川崎区浮島、茅ケ崎市西久保、茅ケ崎市芹沢、平塚市相模川から報告されている。

 巣の形状は外側を稲で囲い、内側にタンポポの綿毛が敷かれているのが確認されている。2本のヨシに脚を180度開いて留まり、尾羽をパタパタと広げる動作も見られた。異種の争いでは、スズメ、ツバメに追われ、モズ、ベニスズメを警戒しているのが確認されている。
 囀りはヒッヒッヒッヒッと鳴きながら上昇し、チャチャッ、チャチャッ、チャチャッと鳴きながら降下する。
 神奈川県では河川改修や流路の安定化による草地の減少、宅地開発による農耕地や草地の減少が要因で、繁殖期、非繁殖期ともに減少種に区分されている。


 *日本鳥学会 2012年9月15日発行 日本鳥類目録 改訂第7版に従い、セッカ科と表記しました。



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2013年8月23日金曜日

ゴイサギ Nycticorax nycticorax

 本県では通年普通に見られる。サギ類としてはコサギと同様に個体数が多く、水田、池沼、河川、干潟、磯、海上の生簀など様々な低地の水辺に見られる。繁殖は通常コロニーを形成して行なわれ、他のサギ類と混ざることが多い。繁殖は中原区、鎌倉市、横須賀市、南足柄市から報告されたほか、寒川町などが知られている。主に夜行性であるが、日中の採食活動も多く見かける。冬季は日当たりのよい樹上や水辺の地上に集団で塒を形成して、日中休息し、日没後飛び立って採食場所に向かう。採食場所の近くで単独や数羽で就塒する個体もある。水辺で魚や小動物を捕食する。ウグイ、アメンボ、ミミズのほか、人が与えたスナック菓子を食べた例が報告された。夜間上空を飛びながらコワッ、コアッと聞こえる声で鳴く。


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2013年8月21日水曜日

イソヒヨドリ Monticola solitarius

  本県では留鳥として一年を通して見られる。主に三浦半島や真鶴半島、小田原周辺の海岸で見られる。近年は相模川、酒匂川、多摩川などの大きな河川に沿って内陸部への進出がめざましい。春や秋の渡りの時期には、少数であるが平地部でも観察されている。相模原市の橋本駅付近でも2004年5月10日に確認。それ以前からも継続的に観察されている。
 海岸の岩場に生息するが、高いビルやコンクリートの堤防でもよく見られる。岩場の岩の隙間などで繁殖することが多いが、近年ではビルなど市街地の建物を利用する例も見られる。繁殖期以外は1羽で生活する。岩角や、ビルの屋根、避雷針などの高いところに留まり、ツツピコーと聞こえる、澄んだ声で長く囀る。
 昆虫やフナムシなどの小動物や、マユミなどの果実を食べる。また、スナック菓子を食べていた記録もある。


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2013年8月19日月曜日

ソリハシシギ Xenus cinereus

 本県では春と秋の渡りの時期に観察される。主に秋の渡り時に多く見られる。干潟や湿地、河川の中州などを活発に歩きながら採食する姿を見かける。嘴を泥に刺し込んでゴカイや小型のカニを採ったり、嘴を開いて小魚を追い出して採ったりする。採食しているときにピッピッと美しい声で鳴く時がある。飛び立つときにピピピピと連続して鳴くことがある。神奈川県では、渡来環境の減少、悪化等により観察例や渡来数が減少しているとして、非繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類に区分された。


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2013年8月17日土曜日

イワツバメ Delichon urbica

夏鳥として渡来し、本県では3~10月頃までよく観察される。ただ、冬季に小田原市周辺を中心として観察されており、越冬個体がいる可能性もある。繁殖は、3~8月まで記録があり、道路や橋の桁、学校や漁港の壁などにコロニーを作っている。巣は河原のぬかるみなどから泥を集め、造る。営巣場所近くで成鳥が50羽以上観察されている場所が数か所あるが、大きなコロニーは、少なくなっている。 コロニーの周りにハシボソガラスが出現し、巣だった雛を捕食することがある。
 キュルキュル、チュリチュリ、ジュリー等と鳴きながら飛ぶ。春、秋、そして冬にヒメアマツバメと一緒に飛ぶことがある。水面すれすれに飛び、水飲みを繰り返したり、瞬間腹部をつけて水浴びをしたりする。
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2013年8月15日木曜日

チュウシャクシギ Numenius phaeopus

 本県では春と秋の渡りの時期に観察されるが、比較的春の渡りの時期に見ることが多い。多摩川河口や相模川河口、江の島、江奈湾周辺でカニなどを捕食している姿が見られる。
 カニは足を振り落してから飲み込む。飲み込んだ後、消化できないものをペリットとして吐き出すことがある。内陸部の水田や河川でも見られることがあり、ミミズやカエル、ザリガニなどを捕食している。飛び立つときにホイーピイピイピイピイ・・・・・と笛のような明瞭な声を発する。
 神奈川県では、渡来環境の減少、悪化などにより、観察例や渡来数が減少しているとして、非繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類に区分された。
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2013年8月13日火曜日

ミサゴ Pandion haliaetus

 本県では通年見られるが、下記の観察例は少なく、繁殖例は無い。魚食性で比較的大きな河川や湖沼、海上で魚を捕食する。空中で時にホバリングして魚を狙い、ダイビングして足で掴み取る。50㎝ほどの魚を掴んで飛んでいた例や、70~80㎝の魚を水面から持ち上げられなかった例も報告された。捕った魚は近くの樹上や建造物の上で食べることもあるが、数キロも運んで山林で食べることもある。そのため魚を掴んだ個体が市街地や山林の上空を飛ぶ観察例も多い。魚は嘴で細かくちぎって食べるため時間がかかる。ボラ、アユ、コイなどの魚類のほか、小鳥を食べた一例もあった。神奈川県では、冬季、酒匂川や宮ヶ瀬湖では定期的に渡来しており、繁殖期に宮ヶ瀬湖周辺で越夏する個体もいるが、個体数が少なく生息基盤が脆弱であるとして、繁殖期は絶滅危惧Ⅱ類、非繁殖期は準絶滅危惧に区分された。


*日本鳥学会 2012年9月15日発行 日本鳥類目録 改訂第7版に従い、ミサゴ科と表記しました。

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2013年8月10日土曜日

オオソリハシシギ Limosa lapponica


 本州には旅鳥として渡来し、主に多摩川河口や相模川河口、平潟湾などの干潟で見ることが多く、内陸部の河川や湿地に渡来することはあまりない。

 泥の中に嘴を差し込み、ゴカイや小ガニ等を引っ張り出して食べている。採った獲物は水際まで運び、水洗いしてから食べることが多い。動作はゆっくりとしていて、他のシギなどとの争いはあまりなく、一緒に採食する姿を見る。飛び立つときにケッ、ケッと聞こえる声を発するが、あまり大きな声ではない。
 神奈川県では、渡来環境の減少、悪化などにより、観察例や渡来数が減少しているとして、非繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類に区分された。

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2013年8月7日水曜日

ヒメアマツバメ Apus affinis

 主に関東地方以西に留鳥として局地的に分布する。1967年に静岡市で国内初の繁殖が確認されたが、それに先立つ1965年に鎌倉市で本種の可能性のある観察例がある。
 現在では本県全域で周年観察される。巣はコシアカツバメやイワツバメの古巣を利用したり、時には乗っ取ることも多いが、羽毛と唾液で自作することもある。巣は、周年の塒としても使う。巣の入り口には羽毛が付いているのが特徴である。泥の巣は壊れて来ると、羽毛などの巣材を唾で固めて増巣し、自作の巣はしばしば10数個が固まって作られることがある。
 上空をジュリリ、ジュリリ等と鳴きながら飛びまわる。ツバメやイワツバメ、アマツバメとの混群で飛ぶこともあり、時には100羽以上の群れが見られることもある。
飛びながら空中の虫を捕える。

 繁殖個体数が減少しており、県東部では糞害のため巣が落とされるとして、繁殖期・減少種に区分された。
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2013年8月5日月曜日

オグロシギ Limosa limosa

 本県には旅鳥として渡来し、春と秋に観察されるが、比較的秋に多く、主に幼鳥が観察されている。しかし、いずれにしても数は多くなく、多摩川河口の干潟や海老名の水田などで見られるだけである。
 干潟や湿地などではアオアシシギなどと一緒に採食していることがあり、長い嘴を泥の中に差し込み、ゴカイや水生昆虫を採食している。採食中や飛び立つとき等にキッキッと鋭い声をあげる。白い翼帯があり、翼を広げるとよくわかる。
 渡来環境の悪化等により観察例や渡来数が減少しているとして、非繁殖地・絶滅危惧Ⅱ類に区分された。


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2013年8月3日土曜日

ヤマセミ Ceryle lugubris

  
 留鳥として全国の渓流や湖畔に生息する。本県では相模川以西の山間部に生息し、繁殖しており、愛川町、相模原市、山北町、松田町、小田原市、箱根町で記録があった。近年、過去に見られていた県東部の観察は報告されていない。
 土の崖に穴を掘り、巣を造るが、本目録(2001~5年版)ではこの繁殖行動の目撃例はなかった。水に突き出た枝からホバリングして獲物を見つけた後、ダイビングして魚を採る。岩の上などから魚を狙う場合には、じっと水面を見つめていて時々、尾をピクッと上げる。捕えた魚は振り回したり、枝などに叩きつけてから頭から呑み込む。食べた物の一部をペリットとして吐き出す。
 神奈川県では、各種開発により、繁殖に適した崖地が減少傾向にあり、とくに、上流部における砂防ダム建設による法面被覆や林道建設などの影響は大きいと思われる。また、写真撮影による人的攪乱の影響も考えられるとして、繁殖期・希少種に区分された。


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