解説


 神奈川県内で記録されている鳥と、主にその生息状況について解説しています。
解説文は、日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥の文章を基にしています。




2013年7月31日水曜日

ムナグロ  Pluvialis fulva

 本県では春と秋の渡りの時期に水田や川原、干潟や砂浜などで見られる。比較的乾燥した芝生やグランドなどでも見られ、立ち止まっては採食し、また少し駆けていっては採食するという独特な行動がみられる。草の間を飛ぶ昆虫や干潟のゴカイなどを採食する。最近は越冬する個体も少数ながらあり、多摩川や相模川、三浦半島の干潟などで観察されている。秋の渡りでは幼鳥の群れを見ることが多い。また夏羽から冬羽に換羽中の個体を見ることも多い。神奈川県では水田の乾田化や宅地開発による休耕田や水田の減少、9月半ばで水の供給が遮断されてしまう水田の変化による影響があるとして、非繁殖・減少種に区分された。


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2013年7月29日月曜日

ブッポウソウ Eurystomus orientails





 夏鳥として本州以南に渡来し、低山のスギなどのある混交林や落葉広葉樹林に生息する。本県では5月中旬から9月まで観察されているが、局地的であり、主に県北部に限られている。
 樹の洞や建造物の隙間、巣箱などに営巣する。橋桁に繁殖した県北の記録は2002年以降途絶えている。
1990年代から観察記録も減少しており、県内の繁殖記録も途絶えている。繁殖期・絶滅危惧種Ⅰ類に区分された。


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2013年7月26日金曜日

アマサギ  Bubulcus ibis

 本県には主に夏鳥として渡来し、少数が繁殖、稀に越冬する個体もいる。春と秋の渡りの時期の観察例があるが、以前に比べて減少している。繁殖は他のサギに混じってコロニーを形成して行なうことが多いが、本県での繁殖記録は少ない。九州や沖縄地方では越冬する個体も多い。
 水田、草地、畑地などでドジョウなどの小型魚・カエル・バッタなどを捕食するが、河川や池沼にも生息し、渡りの時期には海岸で見ることもある。また、放牧された牛馬や耕運機の周辺で飛び出す虫を捕食する習性がある。
 横浜、川崎地域の宅地開発による水田や畑の激減のため生息環境が悪化しているとして、繁殖期・減少種に区分された。

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2013年7月22日月曜日

コムクドリ Sturnus philippensis

 本県には旅鳥として春秋に渡来するが、繁殖記録は無い。隣接する山梨県山中湖周辺では夏鳥として渡来し、繁殖している。春秋の渡りの時期には河川の中流域、低山の林などで見られる。
 キュルキュルなどと鳴き、木の実や昆虫などを採食する。(サクラ、エノキの実を採食した記録が報告されている) 
 小群か、少数がムクドリの群れの中に観察されることが多いが、1999年の秋に港北区大豆戸町、大井町金手で100羽~200羽、2002年8月には、藤沢市の公園で200羽程度のねぐらが観察された。





2013年7月20日土曜日

クロアシアホウドリ Diomedea nigripes

 北太平洋に分布し、日本では伊豆諸島鳥島などで少数が繁殖している。八丈島航路や、小笠原航路で見られる場合が多い。本県では城ケ島沖で5例、江の島沖1例、3月から5月が5例、10月が1例、陸地からの観察記録が報告されている。沖合の海上を飛翔したり、海面に着水した生態記録である。
 城ケ島では南西の風が強い日に見られる傾向がある。2003年からの城ケ島の継続観察によれば、本種は稀少渡来種ではなく、毎年、春の渡りの時期には、5~10例程度が分かってきた。今後も更なるデータの蓄積が期待されている。

(日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥2001-05より)神奈川支部HPへ

2013年7月18日木曜日

キセキレイ Motacilla cinerea

 本県では四季を通じて観察できるが、秋から冬にかけての観察例が多い。成鳥は1~2羽で観察されている場合が多い。河川の近くでよく観察され、他には都市公園の池のそばや水田近くなど、やはり水辺のそばで見られる。
 水辺でフライキャッチをして、虫を捕えたり、土を掘って虫を採ったりする。ハムシ、カワトンボ、ガガンボ、カゲロウ、クモなどの採食が記録されている。
 チチン、チチンと鳴きながら飛ぶ。ハクセキレイに追い払われることが多く、逆に追い立てたのは、コシアカツバメやツバメが記録されている。ガラスなどに写る自分の姿に対して攻撃することもある。
 神奈川県では、近年、河川改良に伴い、河川環境の変化による営巣環境の悪化、水生昆虫の減少などの理由で県東部で生息数の減少がみられるとして、繁殖期・減少種に区分された。


(日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥2001-05より)

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2013年7月16日火曜日

アオアシシギ Tringa nebularia

 本県には春と秋の渡り時に観察される。干潟や水田、沼、休耕田などに飛来し、浅瀬を動きながら小魚や水生昆虫、オタマジャクシ、ドジョウ、甲殻類を採食する。やや上に反った長い嘴をいくぶん開きながら水面につけて、素早く前進しながら魚を追う行動も見られる。採った小魚などを洗ってから飲み込むこともある。鳴き声はチョーチョーチョーと聞こえる、澄んだ声を出す。
 神奈川県では目立った渡来数の減少はないが、干潟や砂浜、河川周辺の水田や休耕田等の渡りの中継地に減少傾向がみられるため、非繁殖期・準絶滅危惧種に区分された。

(日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥2001-05より)


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2013年7月14日日曜日

アオバト Sphenurus sieboldii

本県では夏鳥として渡来するが、越冬するものも観察されている。丹沢、箱根の森林に生息する。アオー、アオーという独特の声で鳴く。夏の間、丹沢山地から飛来して大磯照ヶ崎の海岸で海水を飲むことが知られており、一時間に200羽が飛来した記録もあった。「大磯町照ヶ崎のアオバト集団飛来地」として県の天然記念物に指定されている。
 照ヶ崎で採集された糞の中からはミヤマザクラやヤマブドウの種子が検出されている。
 海水を飲みに来る習性が報告されている地域は全国的に見ても局地的で希少性が高いとして、繁殖期、非繁殖期ともに注目種に区分された。
(日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥2001-05より)


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2013年7月11日木曜日

タマシギ Rostratula benghalensis


 本県には留鳥として生息。相模川や酒匂川周辺の水田で繁殖をしている。本種は一妻多夫の婚姻形態をとり、オスが放卵、育雛等を行なう。
 5月になると水田の上をメスが飛ぶ後ろをオスが追う追尾行動が頻繁に見られる。その後、コーコーと良く通る声をあげるため、真夜中の水田は賑やかな鳴き声で包まれる。
 水田の稲の株や草地の窪みに草を盛り上げ、産卵する。メスは産卵後、別のオスとつがいになる。
 越冬期には湿田や河川で小さな群れを作って生息している。主に浅瀬でミミズや水生昆虫、草の実等を採食する。危険を感じるとその場でジッと伏せる。

 神奈川県では生息地である水田や湿地の激減により、繁殖個体数も減少している。また、越冬環境である湿田も乾田化されるなどにより減少しているとして、希少種に区分されている。

(日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥2001-05より)


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2013年7月6日土曜日

サシバ Butastur indicus


 本県には夏鳥として渡来し、3月下旬から10月下旬まで見られる。丘陵地の林や、農耕地の入り組んだ環境に生息するが、繁殖の記録は激減している。

 樹上などから獲物を探し、地上や樹冠に降りて、主にヘビ類、カエル類、直翅目の昆虫(バッタ、キリギリス類)、ムカデ、ゲジ類などを捕食するが、小鳥や他の昆虫なども食べる。
 秋には8月頃から移動を始めた個体が観察され、9月中旬から10月中旬に渡り途中の個体が多い。横須賀市武山、南足柄市足柄峠では通過個体が多く、気象条件により1日に数百羽が通過することがある。
 トビ、オオタカ、ハシブトガラスからモビングを受け、トビに対して逆にモビングをする行動が観察されている。ピックウィー等と聞こえる声で鳴く。
 本来の繁殖環境である谷戸をとりまく樹林環境が土地開発により激減、また、残された谷戸田も耕作放棄され、繁殖個体が激減したことから、繁殖期・絶滅危惧Ⅰ類に区分された。

(日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥2001-05より)


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2013年7月2日火曜日

コアジサシ Sterna albifrons

 夏鳥として本州以南に渡来する。神奈川県では、3月に渡来し、9月頃まで観察される。かつては大きな河川である相模川・酒匂川・多摩川の河原や中洲で広く繁殖していたと考えられるが、河川敷がグラウンドなど広く利用されたこと、人や車の立ち入りが増えたこと、ダムの建設で洪水が減り、丸石河原が水に洗われることが少なくなって草が繁茂したことなど、様々な要因のためにコロニーを作れる場所が減り、個体数も減少した。
 繁殖を助ける対策として、相模川では、相模大堰建設による自然への影響の代替策として、中洲の造成が行われている。また、酒匂川では三保ダムの放水によって、コロニーが流される事故が続いたため、日本野鳥の会神奈川支部有志による繁殖用の台地作りの取り組みがされている。これらの試みは、年による変動はあるが、それぞれ成果をあげている。
 多摩川では2001年以降河原での少数の繁殖が記録されるようになった。また、東京湾岸の埋め立て地にコロニーが形成されることがあり、川崎区の浮島地区、横浜市の南本牧地区などでは、行政担当課の配慮によって一時的ではあるが、相当数の繁殖が成功した例がある。2006年には、川崎区の工場跡地にコロニーが作られ、300以上の巣が確認された。
 川や海岸でダイビングによって小魚を捕え、求愛給餌や雛への給餌が良く観察される。コロニーに入った人などに対して糞をかける等の攻撃的行動をとる。
 国際保護鳥。神奈川県では、気象的要因、人的攪乱による繁殖環境の脆弱化、カラスやイタチ等による捕食者による繁殖阻害等があるとして、繁殖期・絶滅危惧Ⅰ類に区分された。

(日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥2001-05より)



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