解説


 神奈川県内で記録されている鳥と、主にその生息状況について解説しています。
解説文は、日本野鳥の会神奈川支部編 神奈川の鳥の文章を基にしています。




2013年12月27日金曜日

ノスリ Buteo buteo

 本県では、主に冬鳥として渡来するが、山地や丘陵地には少数が夏季にも生息する。森林、草地、農耕地で観察されることが多い。ネズミ、モグラなどの小型哺乳類や鳥類を捕食する。樹上にとまって獲物を探すことが多いが、ホバリングして獲物を狙うこともある。チョゲンボウ、ハシボソガラス、ハシブトガラスからモビングを受けることや、オオタカに追われる観察記録もある。
 ピーピー、ピィエーキョッキョッキョッ、キイキイキイ、キュイー等の声が確認されている。
 神奈川県では繁殖期の個体数は少なく、繁殖記録も同一場所で継続していることもなく、生存基盤は、決して安定しているとは言えないとして絶滅危惧Ⅱ類に、また、非繁殖期は、越冬地である草地的環境が河川敷のグランド化や農耕地の開発、河川改修により消失、激減しているため、希少種に区分された。

2013年12月25日水曜日

オカヨシガモ Anas strepera

 北海道では少数が繁殖し、千葉県市川市行徳(行徳野鳥観察舎友の会1991)や谷津干潟(石川2001)でも繁殖が確認されている。一般には冬鳥として関東以西に多く渡来する。本県では多くないが、1990年代前半に増加した後安定した数が渡来している。丹沢湖などの山間の大きな湖ではあまり見られず、多摩川、相模川などの大きな河川の中流と、酒匂川の河口域、金沢区の長浜池など汽水域では比較的よく見られる。グェグェと鳴くが、求愛時にオスがフイーッまたはピーという鋭い声を出すのが観察されている。オスがメスの前で頭を上げ下げするディスプレイが見られたが、集団での求愛ディスプレイの記録は少なく、冬の早いうちからペアでの行動が良く見られる。水面採食や逆立ち採食を行い、岸壁についた藻を食べる行動も観察されている。

2013年12月23日月曜日

ルリビタキ Erithacus cyanurus

 繁殖期は、丹沢や箱根の標高1000m前後の山地で見られ、越冬期は、神奈川県全域の低山から平地で見られる。地鳴きはヒッヒッヒッ、またはグェグェッ等と鳴き、渡去前にはキョロキョロキョロリ等と囀ることもある。地上に落ちている種子、果実、ミミズや昆虫等を採食する。越冬期は一羽ずつがそれぞれ縄張りをつくって生活する。枝先にとまる際は尾羽を上下させながら左右に向きを変える独特の動きを度々見せる。神奈川県では、スズタケなどの下層植生の減少による営巣環境の悪化により減少傾向が著しいとして、繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類に区分されている。

2013年12月21日土曜日

クイナ Ralls aquaticus

 本県では冬鳥として河川や休耕田に渡来するが、姿を見る機会はあまり多くない。関東地方では、過去に1988年栃木県渡良瀬遊水地、1992年茨城県神栖で繁殖が記録されている(栗崎1992)。生息環境としてはヨシやオモダカ等の水生植物が繁茂する川や池、休耕田を好み、あまり開水面には出て来ない。朝や夕方には活発に採食するため目につきやすくなるが、警戒心が強くちょっとした物音や足音などにも驚き、すぐさまヨシ群落や草むらに駆け込み、姿を隠す。鳴き声はキイーッ、クッ、クッ、キュウキュウと聞こえる声を出す。サワガニ、ミミズ、アメリカザリガニ等の水生生物を採食する。また小魚の死骸などを突くこともある。動物食だけでなく潜水して藻を咥えてきて食べたりする。神奈川県では、ヨシ群落の減少及び群落の質的な劣化傾向による生息環境の悪化があるとして、非繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類に区分された。

2013年12月16日月曜日

ヒガラ Parus ater


 本県では留鳥として針葉樹が多い山地の森林に生息し、主に県西部で観察される。秋から春にかけては川崎市、横浜市、逗子市、茅ヶ崎市、平塚市、二宮町、湯河原町などの低地の森林でも記録がある。冬はシジュウカラ、ヤマガラ、エナガ、メジロ、コゲラなどと群れで行動する姿が見られる。繁殖は相模原市、丹沢、箱根の山地で記録がある。樹冠でツツピーツツピーツツピーやツチピーツチピーツチピーなどと早く囀る。マツ、スギ、ヤシャブシ、モミ、ヌルデなどの実を食べる。また、コブシの葉芽の中にいる小昆虫を取り出して食べたり、虫こぶをつついたり、ホバリングしてマツの実をつつく採食例が観察されている。

2013年12月14日土曜日

ホオジロガモ Bucephala clangula

冬鳥として、内湾、河口、河川などに渡来する。北日本に多く、関東以西は少ない。本県では数少ない冬鳥で、毎年定着して見られる場所は殆ど無い。相模川の中流域、酒匂川の河口域で見られている。かつて毎年少数が見られた芦ノ湖、金沢区の海岸でも渡来は不定期になっている。
 潜水を繰り返して水底の動植物を採食する。貝やカニを飲み込んだ観察例がある。オスがメスの前で首を上に伸ばしてから後ろに反らせて後頭部を背中につける様な動作の求愛ディスプレイが冬の間に見られるが、本県ではあまり観察されていないようである。
 オスよりメスタイプの観察頻度が高い。

2013年12月11日水曜日

ヤマガラ Parus varius

 本県では留鳥として、平地から山地の広葉樹林に生息し、都市部を除きほぼ全域で観察される。ただし、記録件数はシジュウカラのほぼ半分である。冬季はシジュウカラ、エナガ、メジロ、コゲラなどと群れで行動する姿が見られる。樹洞で繁殖するが巣箱も利用する。落葉広葉樹などの樹冠部や梢をソングポストとして利用する 。囀りはピーツンツン・ピーツンツン、ツンツンピー・ツンツンピーやピーツツ・ピーツツで地鳴きは鼻にかかったような声でニーニーと鳴く。 採食行動としては、種子などを両脚で押さえて嘴でつついて中身を食べたり、皮や殻を剥がして食べたり、イヌシデの花穂を食べる採食方法が観察されている。また貯食する習性があり、コナラやヒマラヤスギ、エゴノキの実などをくわえて飛びたつ例や、地面にドングリを埋める、コナラの実を電波塔のアンテナに押し込む例が観察されている。また実食以外ではイモムシ、クヌギの虫こぶ、オオカマキリの卵塊、アブラゼミなどの昆虫の捕食も観察されている。

2013年12月6日金曜日

ユリカモメ Larus ridibundus

 主にユーラシア大陸の沿岸部と内陸部で広く繁殖する小型のカモメで、嘴と脚が赤く、夏羽では頭巾をかぶったように頭が黒くなる。冬羽では、頭は白く、眼の後ろに黒斑がある。冬鳥として多数が渡来し、神奈川県では9月から4月まで群れが観察される。夏季にも少数の残留個体が見られることがあり、ほぼ年間を通して記録がある。
 港や海岸で観察される他、川もよく遡る。相模川では河口から25km付近まで見られ、相模原貯水池にも出現する。境川、大岡川などの都市河川にも現れるが、年によって個体数の変動が大きい傾向にある。川で見られる個体は、夕方には川を下って、海上で夜を過ごすと考えられる。
 食性は変化に富んでおり、魚の死体を食べる他、ダイビングで魚を採る、干潟でゴカイを採る、水面に浮かぶ小さなものを啄ばむ等観察されている。また、人馴れした個体が増えており、パンくずなどで容易に餌付けられる。横浜市の山下公園などでは、多くの個体が餌付いていて、ドバトとともに餌をやる人の周囲に群れているのが観察される。カモやコイへの給餌を横取りすることも多い。

2013年12月4日水曜日

コゲラ Dendrocopos kizuki

 留鳥として全国に分布する。本県では全域に普通に生息し繁殖もする。近年では市街地の街路樹や都市公園での繁殖も増えていて、多摩区、旭区、保土ヶ谷区などで記録があった。木屑を飛ばしながら枯れ木をつついて穴を掘り巣穴とする。巣は塒としても使用する。木を突いて中にいる昆虫を探し出す行動が見られるが、「樹の皮をめくって中の虫を丸呑みにした。」あるいは「樹皮のささくれの隙間を突いて採食した。」などの観察記録があった。「樹からホバリングして虫を狙った。」また「尾をくの字に曲げて幹につけたままで樹を突いた。」などの観察もあった。電柱やアンテナなどの人工物もドラミングをする。
 冬季はシジュウカラ、エナガ、メジロ、ヤマガラなどと混群をつくる。イモムシ、カイガラムシ、カマキリの卵、マユミの実、アカメガシワの実、ヌルデの実等を採食する他にヤマザクラの花蜜を吸った記録もあった。
 ギーまたはキューイッという地鳴きの他に聞かれるギーキッキッキッという鳴き声は囀りにあたるといわれる。2羽がギーキとチッチッ、ギィギィとチンチンチンと鳴き交わしていたという記録もあった。

2013年12月2日月曜日

ミヤコドリ Haematopus ostralegus


  日本には数少ない冬鳥または旅鳥として渡来する。近県の千葉県船橋市三番瀬では、2006.12.03に136羽を越える群れが確認された(三番瀬を未来に残そうのホームページ)。三番瀬では、1992年以降、数を増やしながら越冬を続けている。
 
 本県では相模川河口・多摩川河口の干潟、鎌倉~片瀬海岸の砂浜、江ノ島、三浦市毘沙門海岸の岩礁、横須賀、葉山などに渡来した例があり、毘沙門海岸では1973~76年に連続して越冬した(矢田1974a)。近年では10月の秋の渡りの時期に観察されたのみである。
 鳴き声として、ミャー、ピューピューなどが記録された。間接頭掻きをする。2001年以降の渡来例は、猿島、江ノ島~鎌倉、照ヶ崎で毎年のようにどこかで記録されている。江ノ島では、ここ2・3年では3羽前後が越冬をしている。

2013年11月30日土曜日

エナガ Aegithalos caudatus

 本県では留鳥として、丘陵地から山地にかけての森林に生息し普通に見られる。秋から冬にかけては平地の都市公園や人家の庭先でも観察される。繁殖期はつがいで縄張りを持ち、都市部を除く全域で普通に繁殖している。木の枝の又にお椀状の巣を作り、巣材としてクモの糸や苔、羽毛、獣毛を使う。

 冬季はシジュウカラやヤマガラ、メジロ、コゲラなどと混群をつくり、行動する。主に枝先近くで昆虫、クモ類、木の実を採食する他、葉先のアブラムシを停空飛翔しながら捕食する。ミズキ、サクラ、アカメガシワ、カラスザンショウ、シデといった木の実やサクラの花の蕾、カラマツの芽、餌台に置かれた柿の実、昆虫の幼虫を採食したという観察例が報告されている。
 一年を通じてジュリジュリ、チリリリーという声で鳴き、地鳴きはチッと小さな声で鳴く。






2013年11月27日水曜日

スズガモ Aythya marila

 冬鳥として全国の内湾、河口などに大群で渡来する。本県では、多摩川河口や東京湾側の内湾で大群が見られる。相模湾側の海岸でも数10羽の群れが見られるが、内陸の湖や小さな川では時たま少数が見られる程度である。川崎区の浮島処分場の池や金沢区の長浜池など、海に近い池を昼間の休息場所として数百羽が利用している。
 潜水して水底の動植物を採食するが、他にもアオサが多く観察され、カニや二枚貝(カキ)も観察されている。水面採食や逆立ち採食も行う。鳴き声の観察記録や求愛行動はあまり見られない。
 東京湾の奥(三番背付近)では毎年10万羽規模の越冬があり、秋の渡来や春の渡去の移動時期に横浜川崎付近に大群が現れることも考えられる。金沢区のベイサイドマリーナ北側海面では春の渡り前の動きかと思われる大群(数千~一万羽)が1990年代に何度か観察され、1998年11月には約12,000羽の大群が見られた。また、2002年12月には真冬であるが、約4,000羽の大群が記録されている。

2013年11月23日土曜日

カシラダカ Emberiza rustica

 本県には冬鳥として平地から丘陵地の草地や農耕地、川原のヨシ原、疎林などへ渡来し、普通に見られる。数羽から数十羽の群れで生活するものが多い。また、スズメやヒバリ、ホオジロ、アオジ、タヒバリ、カワラヒワ、ムクドリ、ホオアカなどと一緒に採食する姿が観察されている。オオブタクサやセイタカアワダチソウ、エノコログサの種子の採食とともに、飛んでいる昆虫をフライキャッチしたという観察例が報告されている。地鳴きはチッチッと一声ずつ鳴く。また3月には囀りに似たぐぜりを聞いたという記録も寄せられている。

2013年11月20日水曜日

タシギ Gallinago gallinago

 本県には春と秋の渡り時に観察される旅鳥として、または冬鳥として水田や河川、休耕田などで観察される。冬季は、湿田が減少してしまったため河川や遊水池や、水が多少残っているよう水路などを越冬環境として生息している。日中は草や稲の切り株などの陰でじっとしていて、夕暮れと共に活動を始める。ただ曇天や雨の日などには日中から川岸や水田で採食することもある。水田の近くや川岸を歩いていると、突然ジェと鳴いて足元から飛び立つことが多く、驚かされる。警戒心が強く、草陰で外敵が通り過ぎるまでじっとしているが、眼だけはしっかりとその動向を捉えている。長い嘴を地面に突き刺して上下に動かし、地中の小動物などを捕食する。トビハゼ、ゴカイ、フジノハナガイが食物として記録されている。神奈川県では、近年、個体数の減少は見られないが、本種は常時水のある農耕地や用水路を好む傾向があり、休耕田や湿田、湿地の減少により生息環境の悪化が心配されているとして、非繁殖期・注目種に区分された。

2013年11月16日土曜日

シメ Coccothraustes coccothraustes



 冬鳥として渡来し、スズメよりも大きい。 堅い実を割って食べるため、太い嘴を持つ。体型は小太りで尾は短めで地味な色の鳥。本県では低山から市街地で普通に見られ、渡去時期には嘴は肉色から鉛色に変化する。落葉樹林に多く見られ、カエデ、イヌシデ、エノキ、カラスザンショウ、ミズキ、ケヤキ等の実を食べる。また、サクラ、クヌギ、コナラ等の蕾や新芽、花等も食べる。ソメイヨシノの葉や青虫を捕食した例や餌台にもやって来てヒマワリの種子などもよく食べる。イカル、カワラヒワ、ホオジロ類との混群での行動や数十羽の群れで行動しているときもあるが、市街地では単独で見ることが多い。

2013年11月13日水曜日

マガモ Anas platyrhynchos

 北海道と本州中部の湖沼や河川で繁殖するが、多くは冬鳥として渡来する。本県では冬鳥で、各地の池や川で普通に見られ、数も多いが、芦ノ湖、宮ヶ瀬湖などの大きな湖に集中する傾向がある。稀に海に出る。県全体ではこの10年間やや減少傾向にある。
 繁殖期にもペアが見られているが、繁殖は確認されていない。水草や陸上の草を食べる他、水面を漉し取るような採餌もする。イセウキヤガラの塊根、ヨシの穂を食べた観察がある。オスがキュッと鳴いて首を上に伸ばし、嘴を胸にひきつけるディスプレイや、ペアが向き合って頭を上下する行動が交尾の前に観察されている。鳴き声はグエーグエッグエッなどである。
 飼育されているアヒルやアイガモが野生化し、野外で繁殖していることがあるので、模様がぼけたり、体が太っていたり、大型の個体は真の野生かどうか疑う必要がある。繁殖期の観察例には、そうした個体が混ざっている可能性がある。

2013年11月8日金曜日

ツグミ Turdus naumanni


 本県には冬鳥として渡来する。渡来数も多く、11月頃から5月上旬頃まで県内全域で見られる。草地やグランド、畑などの開けた場所や林の縁の梢などにとまる。地鳴きはクエッ、クエッ、キィキィなどふた声づつ鳴くことが普通で、クワッとかキュルルという声も出す。渡来直後は林内で群れで見られ、冬に入るとともに群れは分散していく。春の渡りの前には数十羽の群れになり、囀りに近いぐぜりが聞かれることもある。一羽ずつ分かれて採食し、ピラカンサ、カラスザンショウ、ムクノキ、ハゼなどの実やミミズなどの小動物を食べる。数歩歩いては、胸を張った姿勢で立ち止まり、また数歩歩くという行動をとる。飛び立つときにクエックエッと声を出す行動が数多く記録されている。

2013年11月6日水曜日

ホシハジロ Aythya ferina

北海道東部では少数が繁殖するが、主に冬鳥として本州以南の湖沼、川、河口に渡来する。本県では1980年代末から1990年代前半に渡来数が大きく増えたが、この10年間は減少している。都市公園の池や内湾でまとまった数で見られることが多い。芦ノ湖や丹沢湖でも見られるが、小さな川に入ることはまれである。岸辺の草に隠れるような行動はせず、開けた広い水面に群れることが多い。雌雄が同数ではなく、雄が雌の2倍程度見られる。潜水して水草などをくわえ上げて食べるが、人の投げたパンなども食べる。求愛行動はあまり見られず、春になっても雌雄ペアで行動することは少ない。鳴き声が聞かれることは少ないが、ピーヨピーヨと口笛のような声で鳴いたという記録がある。4月半ばには殆ど渡去するが、羽を痛めて越夏する個体が数箇所で観察されている。

2013年11月5日火曜日

ビンズイ Anthus hodgsoni

 本県では、繁殖期には、箱根や丹沢の標高の高い地域に分布する。秋から早春にかけて、低地で広く見られる。冬季には、5羽前後の群れで、よく見られる。地鳴きは、ツウィーなどと聞こえる。昆虫、種子などを採食するといわれているが、情報は少ない。神奈川県では、県西部の標高1000m以上の山地帯上部から亜高山帯が学術的に重要な繁殖地であるが、個体数が少なく、保全の必要が高いうえ、登山者の繁殖地への侵入が心配され、繁殖環境の悪化が懸念されるとして、繁殖期・絶滅危惧2類に区分された。

2013年11月2日土曜日

アオサギ Ardea cinerea


 低地の海岸、河川、水田などの水辺に通年見られるが、標高の高い芦ノ湖や山間部の水辺でも記録がある。1980年代までは、冬鳥として渡来していたが、若鳥の越夏例は稀にあった。90年代に入り、成鳥の越夏例も見られるようになり、留鳥化した。繁殖は通常、コロニーを形成して行う。
 本県では1995年に戸塚区名瀬町で繁殖が確認され、それ以降、南足柄市、寒川町、横須賀市、藤沢市で繁殖の記録があるが、斜面林に見られることが多い。戸塚区、横須賀市では糞による害が原因で追い払われた。2006年には平塚市花水川付近と戸塚区金井遊水地で新たに営巣が観察されている。
 主に水辺で魚類を捕食するが、草地ではバッタも捕らえる。また、人が与えたパンを食べることがある。サギ類やカモメ類等他の鳥から魚を横取りするなどの観察例もある。他県では動物園内で繁殖し、海獣類の餌の魚を横取りする例も知られている。採食時も休息時も動きが穏やかで、魚を狙ったまま数分間も動かないことも多い。半開きにした翼の下面に光を受ける日光浴は本種独特のものである。夜間も活動するらしい。ゲー、ガアガアなどの声を出す。

2013年10月31日木曜日

シロハラ Turdus pallidus

本県では冬鳥として渡来し、11月から5月まで見られる。山地よりも平地の雑木林や都市公園でよく見られる。比較的暗い林を好み、芝生や畑のような開けた場所には出ることは少ない。地鳴きはキョッ、キョ・キョやツィーなどと聞こえ、アカハラとよく似ている。驚くとピョ・ピョ・ピョと甲高い声を出して飛び去る。春の渡去前の時期にヒョロンピョロンピョピョピョと囀ることがある。越冬期に同種やヒヨドリ、トラツグミ、ツグミなどの鳥たちを追い払う行動もよく観察されている。林床を歩きながら、落ち葉をはねのけ、ミミズや昆虫などの小動物を捕食する行動も数多く報告されている。また、ヒサカキやムクノキなどの実も採食する。


2013年10月29日火曜日

キンクロハジロ Aythya fuligula

 北海道では少数が繁殖するが(環境省自然保護局生物多様性センター2005)、主に冬鳥として全国に多数が渡来する。本県でも冬鳥で、1988年以前は多くなかったが、1990年代前半に増加し、その後は安定している。山地の湖では少なく、大きな群れは多摩川下流・河口や三ッ池公園、三渓園、金沢区並木船溜りなどの都市公園の池に集中している。越夏個体の観察が数例ある。潜水して海底の貝などを採食するといわれているが、海藻なども食べる。また、潜水してカニを捕食した観察もある。公園の池では人の与えるパンなども食べに寄ってくることが多い。ホシハジロとともに見られることが多く、水面に群れで漂って休息する。水面で腹を上に向けて羽繕いするのがよく見られる。求愛行動はあまり見られない。

2013年10月27日日曜日

アオジ Emberiza spodocephala

 本県には主に冬鳥として全域で観察され、平地から丘陵地の林や農耕地、川原に渡来し、公園や人家の庭先でも見られる。10月下旬から5月上旬まで観察されるが、6月8日に観察された例もある。3月から4月にかけて囀りが聞かれることもある。
 繁殖は箱根の一例が報告されている(1994)。 このほか2000年に藤沢市で巣立ち雛、7月に茅ヶ崎市で夏羽の個体が観察されており、今後も低地での繁殖例が増える可能性があるため、注意を要する。
 冬季は小群を作って生活することが多い。また、カワラヒワやシジュウカラ、ホオジロと一緒に食物を探す姿が観察されている。草の種子を採食するほか、繁殖期には昆虫やクモ類も食べる。ヨシやオギ、ススキ、オヒシバ、オオブタクサ、イノコズチの種子、梅の花の蕾、クヌギやスダジイの花、タケニグサの翼果、ミミズ、ガを採食したという観察例のほか、飛行する昆虫をフライキャッチしたという記録も報告されている。
 神奈川県では、個体数が少なく安定していないとして、繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類に区分された。

2013年10月25日金曜日

オナガガモ Anas acuta

 冬鳥として湖沼、河川に多く渡来する。本県でも各地で普通に見られ、数も多い。県内への渡来は9月下旬から始まるが、春の渡去は比較的早く、3月中には殆どが去ってしまう。芦ノ湖や丹沢湖などの山地の大きな湖には少なく、都市公園の池や川の下流に多い。海に出ることも多い。
 水草や水底の泥をかき回して出てくる小さな動植物を食べるらしく、浅瀬で逆立ち採餌をよく行う。食物が特定された観察例は少ないが、シロツメクサの記録があり、オオバンが食べていたオオカナダモを横取りした観察例もある。都市公園の池などでは人が投げたパンなどに集まることも多いが、こういう場合警戒心が少なく、真っ先に人馴れする傾向がある。
 一羽のメスを数羽のオスが取り囲んで、首を上下し、尾羽を立てる求愛行動が見られ、そのときにピリリッ、ピリリッとかヒューヒューと鳴くのが観察されている。また、同様の求愛行動で、嘴を水に浸けてから首を伸ばし、そのときにクッ、クッと鳴く観察例もある。

2013年10月23日水曜日

ハクセキレイ Motacilla alba

  本県ではかつて冬鳥として渡来していたが、1970年代前半から繁殖が見られるようになり、その後繁殖分布を広げた。秋と冬の観察記録が多いが、四季を通して公園、街路、畑、川などでよく観察されている。建物や橋桁の隙間に営巣することが多い。チチッチチッ、チュチュッチュチュッなどと鳴いて波状飛行をすることが多い。フィリーッフィリーッとよく澄んだ声で鳴くこともある。歩いたり飛んだりしながら採食するが、ハエ、コメツキガ二、ゴカイ、ドッグフード、小魚、アキアカネ、アオムシ、コマセ、ミミズなどが記録されている。秋から冬には、街路そばの電線や街路樹、広告塔などで、300羽以下の集団ねぐらが観察されている。橋桁や工場の屋根などでは数百羽が集合するねぐらがある。他の鳥を追いかけることも多く、コアジサシ、トウネン、ハヤブサ、キセキレイ、ドバト、ハシブトガラス、ツバメ等が記録されている。

2013年10月21日月曜日

オシドリ Aix galericulata

 山地の渓流や湖沿いに繁殖するが、本県では、主に冬鳥として丹沢湖、宮ヶ瀬湖などの周囲を森に囲まれた大きな湖に渡来する。岸辺に広葉樹がかぶさるような環境があれば小さい池に来ることもある。開けた川で見られるのは秋の渡りの時期のことが多く、海水域に出ることは殆ど無い。
 芦ノ湖では以前多く見られたが、1997年以降記録が無い。一方、相模原貯水池では2002年から多数(200羽以上)記録される年がある。雌雄が同数ではなく、オスがメスの1.5倍程度見られる。
 クエッとかクィーと鳴く。草の実やドングリを好んで食べるが、セミを食べた観察例もある。湖岸の木の下の岩や木の枝にとまって休むことが多い。1991年には室伏友三氏によって芦ノ湖で繁殖が確認された(1991.10.06付朝日新聞湘南版)。また、1997年7月に相模川でも繁殖が記録され、同所で2004年7月に雛10羽、2003年、2005年にも幼鳥が観察されている。
 神奈川県では、繁殖期に営巣場所となる樹洞を持つ大木の減少などから、繁殖環境の悪化が懸念されるため希少種に、非繁殖期は越冬環境である、湖岸に樹木が覆いかぶさるような水域がダム湖などでは安定しないため、減少種に区分された。

2013年10月19日土曜日

ジョウビタキ Phoenicurus auroreus



 本県では冬鳥として渡来する。10月中頃から4月はじめまで見られる。平地から山間部まで、県内の殆どの地域に分布し、林縁、公園、人家の庭など明るく開けた環境でよく見られる。
 越冬地では雌雄それぞれ一羽づつのテリトリーをつくる。地鳴きはヒッヒッヒッ、カッカッ、カタッカタッなどと聞こえ、渡来直後のテリトリー宣言の時期によく聞かれる。尾を頻繁に上下に振る行動もよく見られる。
 地上で昆虫やクモ類を捕食したり、ヌルデやカラスザンショウ、コムラサキ、ノイバラなどの果実を採食する。

2013年10月17日木曜日

コガモ Anas crecca

 少数は本州の山地や北海道で繁殖するが、主に冬鳥。本県では他のカモより早く9月から渡来し、個体数も多く、5月頃まで滞在する。渡来当初のエクリプス羽は雌雄の識別が難しい。秋の群れは大きいが、徐々に群れは小さくなっていく。各地の川や池に分散して生息する。
 岸の草に隠れて休むことが多い。石に付いた藻類や水面を流れる草の種子などを食べる他、泥を濾し取るような採食もする。野外観察では何を食べているかが分かりづらく、食べたものを特定した例は少ないが、ガマの穂を食べた観察例がある。1羽または少数の雌の周りを雄が取り囲んで、頭を胸につけた後上に伸ばし尾を上げる求愛ディスプレーが見られる。雄は、短くピリッ、ピリッまたはピッピッと鳴くが、求愛行動で雄がヒューヒューとか、ピーピーキーと鳴くのが観察されている。
 亜種アメリカコガモ A.c.carolinensisの雄が稀に記録されている。2000.12.23酒匂川富士道橋、1992.03.15相模川社家水道橋の例などがある。

2013年10月15日火曜日

マミチャジナイ Turdus obuscurus

 本県では旅鳥として渡来する。シロハラやツグミより早く、10月上旬から11月にかけて、少数であるが県東部の丘陵地の明るい雑木林や樹木の多い公園で見られる。今回の記録(2001~05)では、全て県東部、三浦半島での観察であった。春の渡りの時期の観察例は少ない。また秋の渡りの時は群れでいることが多く、まれであるが冬季の記録もある。アカハラに似ているが、大きさは少し小さい。雌雄ともに眉の白い斑が目立つ。頭部は灰色味があり、嘴の基部も白い。キョッ、キョッやツィーと鳴く地鳴きはアカハラの声と似ている。ミズキやムクノキなどの実を好んで食べる。林床を歩き、ミミズなどの小動物を捕食する。何かに驚くと一斉に樹上に飛び上がる。


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2013年10月13日日曜日

ミユビシギ Crocethia alba

 本県では春秋の渡りの時期に観察されるが、越冬個体も見られる。主に海岸の砂浜や海岸で見られる。県内では、茅ヶ崎から藤沢にかけての海岸及び三浦海岸(三浦市金田~横須賀市津久井浜)での観察例が多い。また、多摩川河口、相模川河口、金沢区野島、大磯町照ヶ崎と記録されている。本種の内陸部での記録としては珍しい、厚木市戸田の記録も一例ある。
 砂浜では波が引くと駆け寄って採食し、波が寄せて来るとちょこちょこと逃げていく行動を繰り返す。また集団で休息する姿もよく目にする。採食しながらクイリリ、クイリリ、ピクイリリ・・・・と小さな声で鳴くことがある。また、多摩川河口では、サウスオーストラリアの標識を付けた個体が観察されている。
 神奈川県では、渡来環境である河口干潟の減少や海岸環境の変化により観察例、渡来場所、渡来数ともに減っているとして、非繁殖期・絶滅危惧Ⅰ類に区分された。



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2013年10月12日土曜日

カケス Garrulus glandarius


 本県では、繁殖期には箱根、丹沢、小仏峠などの山地に分布し、繁殖していると考えられるが、今回は(2001~05)繁殖に関する記録は報告されていない。秋冬には平地へも漂行する。
 ジェージェーとしゃがれた声で鳴き、他の鳥などの鳴きまねをよくする。基本的には雑食性であるが、秋にはクヌギ、コナラ、シイ等のドングリを好んで食べる。また、貯食の習性が知られており、これらの樹種の種子散布の上で大きな役割を担っていると考えられている。


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2013年10月10日木曜日

ダイサギ Egretta alba

 本県では河川、池沼、海岸などの水辺で通年観察されるが、コサギより個体数は少ない。夏季より冬季に個体数は多い。夏鳥または留鳥として繁殖する亜種チュウダイサギと、冬鳥として渡来する亜種オオダイサギがあるが、識別は困難。営巣は他のサギ類に混じってコロニーを形成して行う。今回、中原区で繁殖が報告された。モツゴ、ドジョウ、キンギョ、ハゼ科不明種などの魚類の他アメリカザリガニ、ミミズを捕食した観察例がある。

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2013年10月9日水曜日

アマツバメ Apus pacificus

夏鳥として渡来する。本県ではほぼ全域で観察されるが、その殆どが春と秋の渡りの時期に上空を飛ぶ姿を見たものである。繁殖の時期にも記録はあるが、繁殖の事例は無い。伊豆半島(叶内1998)や富士山(環境省自然保護生物多様性センター2005)等で繁殖しているので、そうした場所から飛来したものと考えられる。また近年は冬季の記録が数例あるが、これが越冬個体なのかどうかは分かっていない。
 数羽から数十羽で上空をスピーディーに大きく旋回しながら虫を捕らえる。渡りの頃はツバメやイワツバメ、ヒメアマツバメに混じって飛ぶのが観察されている。飛びながら鳴く声はチリリー、チュリリリリと聞こえる。

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2013年10月7日月曜日

セイタカシギ Himantopus himantopus

 本県では以前は稀な旅鳥や冬鳥として飛来していたが、最近では多摩川河口などで、一年中観察されている。初記録は1977.10.16鶴見区大黒埋立地である(神奈川県立博物館1982)。相模川や酒匂川でも夏には河川や水田、休耕田などで毎年観察されている。
 東京湾の湿地での繁殖が観察されているため(環境自然保護局生物多様性センター2005)、本県での繁殖状況について今後注意してみていく必要があるだろう。
 他のシギと違い長い脚を生かして、深い場所での採食も可能で、水中から小魚やゴカイなどの水生生物を採って食べている。鳴き声はピヨピヨ・・・・と聞こえる。また、ゲゲッと濁った声を出し、威嚇することもある。長い脚を正座のように折り曲げて座り休息することもある。

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2013年10月5日土曜日

ハチクマ Pernis apivorus

 本県には夏鳥として渡来し、山林に生息するが少なく、秋季の渡り途中に通過する個体の記録が多い。確実な繁殖記録は無いが、繁殖期に伊勢原や厚木、津久井、秦野ではペアが確認され、継続的な観察記録がある(神奈川野生生物研究会2000)。本県では秋季の記録は9月中旬から10月上旬に多いが、8月の観察例もあった。
 採食に関する報告は本県からは皆無であるが、ハチ類の巣から幼虫や蛹を捕食することが多く、その他昆虫、爬虫類、両生類、小鳥なども捕食することが知られている。
 神奈川県では、繁殖期の生息も確認され、繁殖の可能性も高いが、個体数も少なく、繁殖環境も脆弱であるとして繁殖期・絶滅危惧Ⅰ類に区分された。


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2013年10月3日木曜日

ダイゼン Pluvialis squatarola

  本県では春と秋の渡りの時期に観察されるが、春より秋の渡り時に多く見られる。しかし、いずれにしても観察記録は少ない。内陸部で観察されることは滅多に無く、主に多摩川河口や三浦半島の海岸などで見られる。東京湾では越冬する個体も多く、一年中観察されるが、県内ではその傾向は見られない。
 干潟で歩きながら泥の中からゴカイを引張り出し、水洗いをして食べる。鳴き声はピーユ、ピーユと幾分尻上がりに聞こえる。
 神奈川県では、主な渡来地である大きな河川の河口部や干潟などが海岸開発などにより減少している状況から、非繁殖期・減少種に区分された。


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2013年10月1日火曜日

チゴハヤブサ Falco subbuteo

 夏鳥として北日本に渡来して繁殖する。本県では、春秋の渡りの時期に観察されるが、秋の9月上旬から10月の記録が殆どである。全般的に記録は少ない。飛びながらトンボ、蝶などの昆虫を捕食するのが観察されている。ノスリ、チョウゲンボウをモビングした例、チョウゲンボウにモビングされた例がある。鳴き声としてピキピキピキピキ・・・・・が記録された。


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2013年9月29日日曜日

ハマシギ Calidris alpina



 本県では春と秋の渡りの時期、または冬季に海岸や河口、入江などで大群が観察される。秋の渡りの時には、内陸部の休耕田などで観察されることもある。また、冬季、多摩川河口、相模川磯部堰、酒匂川などで越冬する個体も見られる。
 シギのなかまでは比較的観察機会の多い種である。夏羽には腹部に黒い模様が見られる。干潟では泥の表面や水中を突きながら、ゴカイや小さな甲殻類を採食する。採ったものを水洗いする行動も観察される。時折一斉に飛び上がり、一糸乱れぬ群飛行を繰り返す。ジュールジュールと鳴きながら飛ぶ。
 神奈川県では、渡来環境である干潟や河川の泥濘地、休耕田などの減少に伴い、観察例、渡来数の減少が著しいとして、非繁殖期・絶滅危惧Ⅱ類に区分された。

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2013年9月27日金曜日

ヒヨドリ Hypsipetes amaurotis


 
  本県では、全域で一年中観察され、繁殖もしている。4月と9~10月には、数十羽から数百羽の群れでの飛行がよく観察されており、留鳥性の個体のほか、旅鳥または冬鳥として渡来するものもあると推測されている。
 繁殖は、平野部の街路、民家、公園などで5~9月に観察されている。
 食物として、動物では、アブラゼミ、トカゲ、カマキリ、バッタ、ヒキガエル、ガ、ムカデ、モンシロチョウ、
 植物の実では、ヌルデ、ヘクソカズラ、クワ、ネズミモチ、ピラカンサ、ヤツデ、クロガネモチ、マンリョウ、ユズリハ、ヒサカキ、センダン、イイギリ、アオキ、ムラサキシキブ、ミズキ、エノキ、ヒメリンゴ、カラスザンショウ、キンカン、センリョウ、ミカン、カラスウリ、ハゼ、キハダ、キヅタ、タブ、
 花芽では、タチヤナギ、クコ、花びらではサザンカ、サクラ、キブシ、ナンテン、コブシ、アジサイ、ハクモクレン、ヤブツバキ、クサギ、レンギョウ、
 新芽では、ポプラ、ケヤキ、コナラ、ツルウメモドキ、シダレヤナギ、花蜜では、ツバキ、ウメ、モモ、
 葉では、ハマダイコン、ホウレンソウ、ブロッコリー、キャベツ、オオイヌノフグリ、ハクサイ、その他、牛脂、ポップコーンなどが記録されている。


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